コラム

2026年6月1日
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【速報】少額短期保険業者向けの監督指針改正のパブリックコメントが公表されました。

「全代理店共通の施策」でも安心できない便宜供与規制

少額短期保険業者向けの監督指針改正に関するパブリックコメントでは、保険代理店への便宜供与について、実務上重要な考え方が示されています。

特に注目すべきは、No.8とNo.9です。

№8 全代理店に共通する教育研修、マニュアル、代理店システム、募集ツール等の提供について

https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20260529-2/01.pdf

No.8では、全代理店に対して提供する教育研修資料、マニュアル、代理店システム、募集ツール等について、過度な便宜供与に当たらないのではないか、という質問がされています。

これに対して金融庁は、全代理店を対象とした施策であっても、一概には判断できないと回答しています。

便宜供与の趣旨・目的、価格、数量、頻度、期間、費用負担者などを総合的に見て、社会通念上妥当かどうかを判断する必要があります。

重要なのは、「全代理店に共通して提供しているから問題ない」とはされていないことです。

保険商品の適正な募集に必要な資料やシステムを提供すること自体は、当然に問題となるものではありませんが、代理店が本来自らの責任で行うべき教育、管理、指導まで少額短期保険業者が実質的に肩代わりしている場合には、過度な便宜供与と評価されるおそれがあります。

№9 保険契約の維持保全の観点からの業務について

https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20260529-2/01.pdf

No.9では、保険契約の満期案内や更新手続の案内が問題になっています。少額短期保険業者が契約者に対して、満期日や更新手続を案内し、更新未了者に注意喚起書面を送付することがあります。これは契約維持保全の観点から重要な業務です。

しかし金融庁は、代理店委託契約書で更新案内が代理店業務とされているにもかかわらず、代理店の主体的な関与がないまま、少額短期保険業者が自らの費用でその業務を行う場合には、過度な便宜供与に該当するおそれがあるとしています。

つまり、「契約維持保全のためだから問題ない」とは整理できません。

特に契約書上は代理店の業務とされているのに、実態としては少額短期保険業者が費用を負担して代行している場合については、その費用や役務提供が代理店手数料に反映されているかを含めて、検証が必要になります。

「全代理店共通だから大丈夫」「顧客対応だから大丈夫」という整理をすることはできず、代理店支援を行うたびに、その支援が適正募集や契約管理のために必要なものなのか、それとも代理店業務の実質的な代行になっていないかを点検することが求められます。

執筆者プロフィール

中村 譲
中村 譲
株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長

2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
 
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