コラム
2026年7月3日 片山さつき大臣の記者会見を読んで

2026年7月3日、日経新聞で「損保の代理店契約解除、金融庁が実態調査 片山金融相「非常に遺憾」」との報道がなされました。
金融庁は損害保険代理店の業務品質を評価する制度の取り組みに関する実態調査を始めた。一部の代理店からは損保が「品質向上」を理由に代理店契約の見直しや解除を進めているとの声があがっていた。取り組み方に問題があれば必要に応じ個別に是正を促す。
片山さつき金融相が3日の記者会見で明らかにした。2026年度から始まった代理店が自己評価で現状を把握し損保との対話を通じてコンプライアンス(法令順守)体制などの整備を図る「代理店業務品質評価制度」に関して、取り組みの実態を調べる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB032IU0T00C26A7000000/
本日公表された記者会見の詳細は以下のとおりです。
問)
自動車業界の兼業代理店のことでお尋ねします。自動車保険の件なんですけれども、現場では品質向上に名を借りて兼業代理店の切り捨てが進んでおります。金融庁の指導であると、その名を保険会社が使っていることに関しての評価をお願いしたいということ、それで切り捨てということは顧客本位となるのか、損害保険行政の目的を今一度教えてください。それともう1点なんですが、関連して保険会社と兼業代理店、それから金融庁、現状の把握が全く一致しません。保険代理店の実態はビッグモーターでも問題となったので、一歩踏み込んでデータを収集して代理店の実態把握をすることが行政としては必要ではないでしょうか。3点です、よろしくお願いいたします。答)
ビッグモーター問題は実は永田町で一番最初に取り上げたのは金融調査会長としての私でございまして、自動車整備や板金という国交省にとってもあまり実態把握が進んでいなかった問題について、国交省は非常によく丁寧に対応してくれたと思っておりますし、そのときにいわゆるレートの問題とかで非常に、一番賃金が上がらない分野の職業であるというようなことも含めて正面から捉えて、当時の金融庁も今もその観点から適正化ということをきちっとやっていて、決して保険代理店である中小の車屋さんとか自動車整備屋さんですよね、主におっしゃっているところは、大体7万から8万件ぐらいのところがあると思うんですけれども、それについて一律にビッグモーターのような問題が起きるということはないんですよ。それは優越的地位の問題が大手の何社か、つまり本当に保険収入が10億とか20億とか30億とかあるようなところと1つの保険会社の単独看板をこうやって掲げて、主に普通には通常の整備をしていらっしゃるたくさんのお店と全く同じではないので、そういうことは理解した上でコンプライアンスとかがちゃんと守れるのかという体制の強化を規模に応じて求めているという考え方がこの6月から施行されております改正保険業法でございます。そこは私も相当しっかり言いましたので、いろいろな声が上がってきているのは非常に遺憾だと思いまして、実態調査をすることになっております。というか、もう既に着手を始めているんだと思います。その声も謙虚に受け止めた上で、つまり過度な体制整備を決して求めるつもりもないし、一方的に契約解除が持ち出されるような状況というのはよくないので、そういうことがないようにした上で、かつやっぱりコンプラについて事件が起きたということは、それはいくら超大手でも事実は事実ですから、それはコンプラをきちっとしてもらうということが顧客本位にひいてはなりますので、これを両立して、まさに品質向上、損保会社に対しては業務の品質向上を求めたいと、このように思っております。ですから実態調査をもう始めますというか、始めましたと。始めつつありますので、これを踏まえて業界の方には業務の真の品質向上に向けた取組を求めていきたいというのが我々の姿勢であります。
これは中小規模代理店での体制整備について、特定大規模乗合保険募集人と同じような体制整備を求める保険会社に対するコメントと読める内容です。
記者会見の詳細から読み取れるのは、特定大規模乗合保険募集人については特にしっかりってもらいたい、ということであって、「これを奇貨として、中小代理店の解約をしようとしている保険会社は趣旨を誤解している」ということでしょう。
この運用の在り方について実態調査が開始されているということで、それを踏まえて新たなガイドライン等が発出されるものと思われます。
今回の損保業界における自己点検結果が芳しくなくても、代理店に不利益を課す制度ではないということを改めて確認しておくことが必要です。
執筆者プロフィール

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株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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