コラム

2026年4月20日
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募集コンプライアンスガイド(2026年4月版)を読む

4月15日、損保協会から、募集コンプライアンスガイド(2026年4月版)が公表されました。

今回の目玉は何といっても比較推奨販売の対応です。

https://www.sonpo.or.jp/news/notice/2026/a5663v00000043dq-att/260415_02.pdf

今回は比較推奨販売規制で今後予定されている改正内容特集ページを確認します。

1 標準的な対応の例

特に確認すべきは、今後の対応の流れが図解されているところです。まずはこの図を何回も確認することが必要です。

この図は、比較推奨販売の実務を「何を起点に商品を見せるのか」という順番で整理したものです。結論からいえば、改正後の比較推奨販売は、最初から代理店側の都合で商品を決めるのではなく、まず「比較可能な同種の商品が複数あるか」を確認し、そのうえで「お客さまが特定の会社・商品を希望しているか」「何を重視しているか」を順に確かめながら、候補を絞り込み、最後に提示・推奨へ進む流れになっています。

ハ方式が許していたような、先に代理店側で特定商品を決めて、その理由を後から説明する発想から、顧客の意向を起点に選別する発想へ移ったことを、非常にわかりやすく可視化した図だといえます。

https://www.sonpo.or.jp/news/notice/2026/pdf/boshuguide_202604.pdf

2 図のポイント

(1)比較推奨販売の対象外の場合

この図の第一のポイントは、乗合代理店であっても比較推奨販売が常に発生するわけではないことを示していることです。

図の最上段では、まず「複数の所属保険会社が引き受ける比較可能な同種の商品が2つ以上あるか」を確認しています。そもそも比較可能な同種商品が2つ以上なければ、比較推奨販売の対象外になります。監督指針案や施行規則改正案も、比較推奨販売の場面を「二以上の比較可能な同種の保険契約」の中から提案する場合として整理しており、比較可能性が出発点であることを前提としています。

(2)顧客が特定の保険会社や保険商品を希望している場合

第二のポイントは、「お客さまが特定の保険会社や保険商品を希望しているか」の確認です。ここは実務上とても重要です。

お客さまが特定の会社や商品を明確に希望しているのであれば、その希望が商品選択の起点になります。

図でも、その場合は当該会社・商品の提示・説明に進む構成になっています。これは、改正後も顧客の明確な希望が消えるわけではなく、むしろその確認がより重要になることを示しています。

(3)「特に重視する意向」の確認が、絞り込みの中心

この図は、顧客に特定の保険会社や保険商品の希望がない場合でも、すぐに代理店が任意に商品を選ぶのではなく、まず顧客が何を重視するのかを確認し、その意向によって候補商品を絞り込むよう求めています。監督指針案も、顧客の意向に沿って選別する場合には、商品特性や保険料水準などの重視事項を事前に確認し、そのうえで提示・推奨することを求めています。

さらに、顧客の意向が不明確な場合でも、重視事項を例示するなどして可能な限り意向を把握したうえで対応すべきとされています。

もうひとつのこの図のポイントは、意向の確認を繰り返すことが選択肢に明確に書かれていることです。意向把握は保険募集プロセス全体で行うものであり、複数回のやりとり、コミュニケーションによって絞り込みが進んでいくいことが望ましいと思われます。

 

https://www.sonpo.or.jp/news/notice/2026/pdf/boshuguide_202604.pdf

その際に提示するべき「お客さまの意向となり得る項目」の具体例が示されました。少なくとも、これらの事項は確認しておくことが望ましいのではないかと考えられます。

https://www.sonpo.or.jp/news/notice/2026/pdf/boshuguide_202604.pdf

(4)「1つの商品に絞れた場合」と「複数候補が残る場合」

図では、意向に基づく絞り込みの結果、候補が1つになれば、その商品の概要と、なぜそこまで絞り込まれたのかという基準・理由を説明する流れになります。

下記監督指針改正案の太字の部分です。

監督指針改正案Ⅱ-4-2-9 (5)①B

(a) 乗合代理店が二以上の比較可能な同種の保険契約の中から顧客の意向に沿って保険契約を選別し、一又は二以上の保険契約を提示・推奨する場合には、当該提示・推奨する保険契約の概要及び顧客の求めに応じて契約内容並びに当該提示・推奨する基準や理由等を説明しているか。 特に、顧客の意向に沿って選別した保険契約の中から、商品特性等により、特定の保険契約を推奨する場合には、顧客の最善の利益を勘案したものとして、保険募集人や乗合代理店の都合によることなく、合理的かつ一定の具体性を有する基準や理由等を説明しているか。その場合、推奨する特定の保険契約以外の保険契約もある旨及び顧客の求めに応じて、それらの保険契約の概要又は契約内容を説明する旨を説明しているか。

他方で、候補が2つ以上残るなら、その複数商品を提示・推奨し、その基準や理由を説明することになります。この図では、上記のような事項による意向では一つに選別しきれずに複数の商品が選別された場合に、募集人がお客さまの意向に沿った保険商品を提示・推奨し、その基準や理由等を説明するとされています。

https://www.sonpo.or.jp/news/notice/2026/pdf/boshuguide_202604.pdf

これは、監督指針改正案だと以下の太字の部分です。すなわち、「顧客の意向に沿って選別した保険契約の中から、商品特性等により、特定の保険契約を推奨する場合」です。

監督指針改正案Ⅱ-4-2-9 (5)①B

(a) 乗合代理店が二以上の比較可能な同種の保険契約の中から顧客の意向に沿って保険契約を選別し、一又は二以上の保険契約を提示・推奨する場合には、当該提示・推奨する保険契約の概要及び顧客の求めに応じて契約内容並びに当該提示・推奨する基準や理由等を説明しているか。 特に、顧客の意向に沿って選別した保険契約の中から、商品特性等により、特定の保険契約を推奨する場合には、顧客の最善の利益を勘案したものとして、保険募集人や乗合代理店の都合によることなく、合理的かつ一定の具体性を有する基準や理由等を説明しているか。その場合、推奨する特定の保険契約以外の保険契約もある旨及び顧客の求めに応じて、それらの保険契約の概要又は契約内容を説明する旨を説明しているか。

4 記録すべき意向について

(注3)で「お客様の意向によらない商品選別」は許されないことがこの図には書かれています。

意識すべきなのは、「顧客の意向に沿った商品を選別したあと」の提示・推奨とは大きく違うということです。

あくまでも推奨の候補になる商品の選別は顧客の意向に沿ったものであることが重要です。

選別された商品はいずれも顧客の意向に沿っていて、そのうえで、その中から、顧客の最善の利益にかなったものを推奨することが求められます。

そうすると、商品選別のための意向把握が非常に重要ということになります。記録すべき意向把握としては以下のとおりとされました。

https://www.sonpo.or.jp/news/notice/2026/pdf/boshuguide_202604.pdf

執筆者プロフィール

中村 譲
中村 譲
株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長

2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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