コラム
インシュアテック企業のインハウスローヤーが追うAI官民フォーラム①

令和7年6月18日、「金融庁 AI官民フォーラム」(第1回)が開催されました。
出典;https://www.fsa.go.jp/singi/ai_forum/index.html
金融庁は 2025 年6〜12 月にかけて月1回ペースで AI官民フォーラム を開催し、銀行・保険・証券・フィンテック企業、海外当局や学界までを交えた公開討議を行います。フォーラムは ①生成 AI/従来型 AI の利活用を“萎縮させない”ためのセーフハーバーの設計、②ユースケースと課題解決事例の相互共有、③ 2026 年3月をめどとするディスカッションペーパー(DP)改訂を目指しています。法改正を直接企図したものではなく、議論による知見を深め、法令等の課題の明確化を図る場として設けられました。
出典;第1回 金融庁 AI官民フォーラム 事務局資料 https://www.fsa.go.jp/singi/ai_forum/siryou/20250618/01.pdf
今年3月に公表されたAIディスカッションペーパー(第1.0版)の背景、チャレンジしないリスクを強く意識すべきという問題意識、そして健全なAI活用に向けた取り組みを後押しするための議論がこれから活性化します。(AIディスカッションペーパー(第1.0版)の記事はこちら)。
生成AIと取り巻く環境としては、非常に多くの原則やルール、ガイドラインが作成されつつある状況であり、現時点では、FDUAの出している金融生成AI実務ハンドブックと金融生成AIガイドライン(下図の黄色)が金融業界を横断的に最も整理されたものだと思われます。
今後はそれも含めてますます議論が緻密化、先進化していくことと思われます(金融生成AIガイドラインは来月には第1.1版が発表されるとのことです https://www.fdua.org/news/20250714)
出典;第1回 金融庁 AI官民フォーラム 事務局資料 https://www.fsa.go.jp/singi/ai_forum/siryou/20250618/01.pdf
そしてこの事務局資料では、特に論点マッピング(叩き台)が非常に参考になります。縦軸と横軸で、論点の分類と顧客との接点、コミュニケーションの深度によって議論が深化していくことが見て取れるものとなっています。また、社内利用であれば議論とする必要がない部分、汎用的な学習済みモデルであれば解決済みである部分が視覚的に整理されていることにより、議論の錯綜を防ぐことが出来るのではないかと感じました。特に当社としては、下記のAIチャットボット利用時の保険募集該当性がユースケースの論点の例に上がっているので目が離せません。
出典;第1回 金融庁 AI官民フォーラム 事務局資料 https://www.fsa.go.jp/singi/ai_forum/siryou/20250618/01.pdf
これからアーカイブが配信され、議事録が公表される予定ですので、またそちらについても整理したいと思います。
執筆者プロフィール

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株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、法務責任者として株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。
これまでに「金融機関の法務対策6000講(共著)」「ペット保険の法的課題(慶應大学保険学会)」『「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情2024.9.17)』を執筆し、日経新聞(2024.9.4朝刊金融経済面)にもコメントが掲載される。
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