コラム
【速報①】保険会社の保険金等支払管理態勢及び営業推進態勢に関する監督指針の改正案に関するパブリックコメントを見る

本日、金融庁から12月17日公表の各事項(比較推奨販売に係る事項を除く)について、パブリックコメントが公表されました。

今回は保険会社の保険金等支払管理態勢及び営業推進態勢に関する監督指針の改正案に関するパブリックコメント(https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20260330-3/01.pdf)を見ていきます。
1 保険会社による代理店監査などの検証における中立的な第三者について
№2
Q Ⅱ-4-2-1(4)、Ⅱ-4-2-9の「中立的な第三者による評価」にいう「中立的な第三者」とは、具体的に何を指しているのか。
A 一概に回答することは困難ですが、例えば、その客観性・公平性・中立性が確保されている限りにおいては、一定の公共性を有し、かつ、全国規模で相当程度の人数を有する団体が主導する品質評価に関する枠組みについて、「中立的な第三者による評価」として活用することも有効であると考えられます。
№6
Q Ⅱ-4-2-1(4)(注)の「検証に際しては、代理店監査等のほか、必要に応じて中立的な第三者による評価を活用することが望ましい。」に関し、とりわけ特定大規模乗合保険募集人においては、第三者評価を活用する必要性がより高い、との理解で良いか。
A 特定大規模乗合保険募集人については、保険会社の営業上の配慮が働きやすく、保険会社による適切な管理・指導等を行うことができなくなっていたという問題を踏まえ、特定大規模乗合保険募集人における体制整備や保険募集等の適切性の検証等に際しては、中立的な第三者による評価を活用することが特に有効であると考えられます。
保険会社による代理店監査の検証を行うことができる中立的な第三者として、たとえば、損保協会に設置された代理店業務品質評価本部などが活用でき、また、特定大規模乗合保険募集人においては、検証に代理店業務品質評価基準などを活用することが必要と解されます。
2 Ⅱ-4-4-3 保険金等支払管理態勢
№12
Q Ⅱ-4-4-3(2)①ウの「支払管理部門及び支払部門以外の第三者(保険金請求者や保険代理店等を含む)からの不適切な介入に影響されることなく保険金等支払いに係る判断がなされるものとなっているか」とは、支払管理部門・支払部門が、他の部門とウォールが敷かれることまで求められるものではない(営業部門からの問い合わせ等が禁じられるものではなく、不適切な介入を抑止するような体制が整っていれば足りる)という理解でよいか。
A 貴見のとおりですが、例示の「営業部門からの問い合わせ」等が不適切な介入とならないよう、支払管理部門及び支払部門において、適切なガバナンスが確立される必要があると考えます。
№14
Q Ⅱ-4-4-3(2)③イの「保険金等不正請求手法に関する知識等の習得」にいう「知識等」のレベル感として当局はどの程度のものを想定しているのか。 今般の中古車販売業者の手口を事例として周知する程度のことでよいのか。
A 「レベル感」の意味するところが明らかではありませんが、自動車修理業における自動車保険に係る不正請求事例のみならず、火災保険や医療保険も含め、代表的な保険金等不正請求に係る事例や、これらの不正請求(不正な修理費の見積り等を含む)を把握・検知するための手法等を習得することが望ましいと考えます。
保険金等支払管理態勢については、上記2点が重要と思われます。適切な分離と、知識等のブラッシュアップが求められ、支払い部門では特に自動車保険のみならず、火災保険や医療保険、代表的な保険金等不正請求の事例や不正請求を把握・検知する手法の習得が期待されています。
3 Ⅱ-4-13 保険会社の営業推進態勢
№25
Q Ⅱ-4-13の「不適切なインセンティブとならない評価体系の運用」について、「お客さま本位の業務運営」を実践するための活動(例えば苦情の削減)であれば、目標や評価を実施することも、不適切ではないとの理解でよいか。
A 監督指針に記載のとおり、保険会社各社が、「不適切なインセンティブとならない評価体系の策定等」を検証のうえ、判断することが求められます。 そのうえで、御指摘いただいた人事評価等のみをもって、適切な営業推進態勢ではないと直ちに判断することはできないと考えます。 なお、御指摘の評価体系を導入するに当たっては、コンプライアンス・リスクの発生の有無等も含めて、検証すべきと考えます。
保険会社においてトップラインを追うことがこれまでは至上命題でしたが、不適切なインセンティブとならない評価体系の運用が強く求められます。コンプライアンス・リスクの発生の有無が今後重要な指標をしめることになりそうです。
4 Ⅲ-2-16 不祥事件等に対する監督上の対応
№26
Q Ⅲ-2-16(3)②ア.(カ)の「伏在調査」とは何か。
A ここでいう「伏在調査」とは、明らかになっていない不祥事件についての調査、特に、発生した不祥事件と同様又は類似の原因を有する不祥事件や、同一の事故者による不祥事件の有無についての調査等を指します。
№28
Q Ⅲ-2-16(3)②ア.(カ)及び同(3)②イ(カ)においては、当該不祥事件の伏在調査は、あくまでも「当該不祥事件と類似の不祥事件」に限定されている。 これは、不祥事件を惹起した者に関し、不祥事件届出の内容をふまえ、合理的に推定できる不祥事件類型を想定した伏在調査を行えば足り、それ以外の不祥事件類型も念頭に置いた調査を網羅的に行うことまでは求められていないという理解でよいか。
A 御指摘の記載については、類似の発生原因による被害が生じている可能性を踏まえた伏在調査の確実な実施を求める趣旨ですが、不祥事件の規模や態様等によっては、異なる発生原因による被害が生じている可能性を踏まえ、網羅的に調査範囲を検討した上で、必要な調査を実施することが望ましいと考えます。
一件の不祥事件が発生した場合、保険会社は周辺事情から類似の事案の発生や、同一事故者がほかにも問題を起こしていないか、十分な調査が必要とされます。
【速報②】保険代理店と保険仲立人の協業等に関する監督指針の改正案を見るはこちら
執筆者プロフィール

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株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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