コラム
【超速報】比較推奨販売に関するパブリックコメントを読む⑧_推奨商品群を先に決めてはいけない

「客観的な基準で3社に絞り、その中で偏りなく比較する」
これは一見合理的な設計に見えますが、パブコメの回答は、ここに最も強い言葉、「適当ではありません」との表現を使っています。
代理店における準備の注意点を確認します。
- 扱う論点
- 母集団(委託契約で決まる範囲)と推奨商品群(そこから先に絞ったもの)の違い
- 代理店が独自の判断(理由等)のみにより、あらかじめ比較推奨販売の対象とする保険契約を選定・決定することは「適当ではありません」とされたこと
- 比較対象の選定数をあらかじめ決めることができるか
- 従来の「推奨方針」を、募集プロセスのどこに再配置すべきか
目次
1 母集団(委託契約で決まる範囲)と推奨商品群(そこから先に絞ったもの)の違い
| №58 |
| Q 多くの所属保険会社の中から、「代理店の都合」ではなく、取扱商品の商品優位性等の客観的理由により選定した保険会社群を顧客に書面等で示し、営業社員が顧客の意向をよく伺い、保険商品を数種類程度に絞り込んだ(絞り込む方法は規程化する)後に、偏りなく比較推奨するフローにしたいと考えている。当然、顧客が客観的理由により選定した保険会社群以外を希望する場合は比較推奨の対象に加えることとするが、このような業務フローは適切な対応といえるか。 |
| A 推奨販売の対象となる保険契約の範囲は、代理店委託契約又はこれに基づく覚書等において取り扱うこととされている保険契約の中に「二以上の比較可能な同種の保険契約」が存在するか否かで判断するものです。 したがって、代理店委託契約等において定められた取扱対象となる保険契約の中から、乗合代理店が独自の判断のみで、あらかじめ、推奨保険会社群や比較対象保険会社群などを設定し、それ以外の取扱保険契約を比較推奨販売の対象外とすることは適切ではありません。 |
代理店委託契約等において定められた取扱範囲となる保険契約の中から、乗合代理店が独自の判断のみで、あらかじめ、推奨保険会社群や比較対象保険会社群などを設定することは避ける必要があります。
(代理店委託契約において取扱範囲自体を絞ることについては、第2回、第3回で取り扱いました)
2 代理店が独自の判断(理由等)のみにより、あらかじめ比較推奨販売の対象とする保険契約を選定・決定することは「適当ではありません」とされたこと
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№378,380 |
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Q378 保険会社と委託契約がある保険代理店について、A保険会社の全商品を取り扱うことが必須ではなく、以下のようなケースにおいては今後も一部商品のみ取り扱うことが許容されるという理解でよいか。 Q380 金融機関(乗合代理店)による窓口販売(投信・保険)では、「プロダクトガバナンス」(顧客最善利益に適った商品提供等を確保するためのガバナンス)の観点から、複数の金融商品の中から金融機関自らが商品を選別していることを公表しているが、顧客の意向を確認した上で、複数の所属保険会社の中から金融機関が選定した取扱商品一覧表(ラインアップ)の中から、推奨販売をすることは認められるという理解でよいか。 |
| A 推奨販売の対象となる保険契約の範囲については、代理店委託契約又はこれに基づく覚書等において取り扱うこととされている保険契約の中に「二以上の比較可能な同種の保険契約」が存在するか否かで判断するものです。
したがって、代理店委託契約等において定められた取扱対象となる保険契約の中から、乗合代理店が独自の判断(理由等)のみにより、あらかじめ、比較推奨販売の対象とする保険契約を選定・決定することや推奨商品群を設けることは適当ではありません。 |
代理店のみの判断によって推奨商品群を設けることは適当ではないと強く指摘されています。
ただし、保険会社と乗合代理店において、代理店委託契約に基づいて取扱対象となる保険契約を決定することは否定されませんでした。
保険会社と乗合代理店において、取扱範囲の限定、取扱対象の決定についてよく検討がなされる必要があるでしょう。
3 比較対象の選定数をあらかじめ決めることができるか
| №48 |
| Q 比較対象商品(保険会社)の選定数について、代表的な数社を一定の幅をもって整理することは許容されるか。(例:顧客の意向に照らし、合理的と考えられる数社(概ね5社程度)を選定すること)改正後の比較推奨においては、見積結果ありきではなく、顧客の意向に基づき比較対象商品を選別することが求められているが、顧客の意向内容や商品特性に照らせば、比較対象とすべき商品数は一律ではなく、一定の幅をもって整理されることが合理的であると考えられる。 仮に比較対象数について明確な下限や多数社比較を事実上求める整理がなされる場合、顧客にとって必要以上に多くの情報が提示され、かえって商品間の差異や比較軸が分かりにくくなるおそれがある。これに対し、顧客の「比較軸」に基づいた顧客の意向範囲に含まれる代表的な数社(例えば5社程度)を選定し、その選定理由を記録・説明可能な形で整理した上で比較を行うことは、恣意的な商品選別を防止しつつ、顧客が自己の意向に基づき合理的な判断を行うことを可能とする方法であり、改正趣旨である顧客本位の比較推奨の実現に資するものと考えられる。したがって、比較対象商品数については、顧客の意向及び比較軸との関係で合理性が説明できる範囲において、一定の幅をもって整理することが許容されるとの理解が望ましいと考える。 特に、損害保険分野における保険料情報連携が一定期間整備されない場合、全社見積の取得が実務上著しく困難となることが予見されるため、意向に基づく代表的数社の試算提示は制度の実効性確保の観点から必要な代替手段である。煩雑さを嫌い、乗合会社を縮小する、さらには専属化する動きもある。 |
| A 比較対象とする保険契約の数について、一律の下限や固定的な社数を設けるものではありません。 また、あらかじめ「概ね5社」など特定の件数を固定し、その件数に合わせて比較対象を選別することが当然に適切となるものではありません。比較対象とする保険契約の数や範囲は、顧客の意向との関係で個別具体的に判断される必要があります。 なお、比較対象を絞り込む場合であっても、手数料水準、販売目標、取引関係、事務都合等の代理店又は保険会社の都合により、特定の保険契約へ誘導することは適切ではありません。 |
比較対象とする保険契約の数や範囲は、顧客の意向との関係で個別具体的に判断される必要があり、一律に固定できないこととなりました。
4 従来の「推奨方針」を、募集プロセスのどこに再配置すべきか
| №458 |
| Q 顧客の意向に沿って保険契約を選別して推奨する場合、合理的かつ一定の具体性を有する基準や理由等を説明するとあるが、乗合代理店が保険会社ごとに保険契約及びサービスを提供する体制(事故対応、引受能力、商品開発力、専門性、財務状況など定量、定性の両面)について客観的な基準を設けて具体的事実や事象に基づき総合的な評価を行い、その評価に基づき推奨方針を策定するとともに顧客に対して推奨方針の内容及び推奨方針の策定プロセスを説明することで推奨理由の説明とすることも可能との理解でよいか。 |
| A 比較推奨販売を行うにあたっては、顧客の意向を適切に把握することが大前提となります。その上で、特定の保険契約を提示・推奨する基準や理由等については、実際に把握した顧客の意向に沿った保険契約の絞り込みと対応関係にある理由を説明する必要があります。 したがって、あらかじめ乗合代理店が保険会社ごとに策定した一般的な推奨方針や、その策定プロセス自体を説明することのみをもって、合理的かつ一定の具体性を有する基準や理由等の説明に代えることはできません。 なお、乗合代理店が所属保険会社等ごとの保険契約やサービス提供体制について、客観的な評価項目に基づき整理・分析すること自体を妨げるものではありませんが、特定の保険会社の保険契約の恣意的な提示・推奨とならないよう当該評価項目の内容等については、慎重に検討・判断する必要があります。また、当該評価は、あくまで個別の顧客の意向との関係において、Ⅱ-4-2-9(5)①B.の内容・趣旨に照らし、具体的に説明される必要があることに留意が必要です。 |
事前準備における注意点です。
乗合代理店が所属保険会社等ごとの保険契約やサービス提供体制について、客観的な評価項目に基づき整理・分析すること自体を妨げるものではありませんが、特定の保険会社の保険契約の恣意的な提示・推奨とならないよう当該評価項目の内容等については、慎重に検討・判断する必要があります。とされました。
また、「社内規則」と「推奨方針」の位置づけに関して、以下の回答も重要です。
| №81 |
| Q 顧客の意向に沿って保険契約を選別する場合には、乗合代理店が事前に推奨方針に沿って、商品特性や保険料水準、付帯サービスなどから保険契約を選別することになるが、顧客の意向が保険料水準のみといった限定的な場合は乗合代理店の推奨方針と違う対応が求められる。その際は証跡・記録を残す、非推奨商品も必要に応じて説明を行うなどの対応を行っている限り、問題ないと考えるがその理解でよいか。 |
| A 貴見における推奨方針が必ずしも明確ではないため、お答えすることは困難です。なお、乗合代理店において事前に定める社内規則等は、顧客の意向に沿って保険契約を選別し、提示・推奨するための判断枠組みを定めるものであり、個別の顧客意向に反して適用するものや恣意的に特定の保険契約に誘導するためのものではありません。顧客の意向が保険料水準を重視するものである場合には、保険料の多寡のみで直ちに選別・提案するのではなく、可能な限り同一又は近似の条件で比較することが望ましく、補償内容、特約、免責、付帯サービス等の差異も踏まえて、提案理由を合理的かつ具体的に説明する必要があります。 |
乗合代理店において事前に定める社内規則等は、顧客の意向に沿って保険契約を選別し、提示・推奨するための判断枠組みを定めるものであり、個別に推奨する商品群を定めるべきものであってはなりません。
執筆者プロフィール

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株式会社Hokanグループ 専門役員グループCPAO
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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