コラム
【超速報】比較推奨販売に関するパブリックコメントを読む④_共同募集で「共通して扱う保険会社の商品」だけを比べてもよいのか

「5社乗りあっている自社が、2社しか扱わない先と共同募集をする。比較対象は共通して乗り扱っている2社でよいか」
パブコメには同趣旨の質問が多く寄せられました。当局の答えは共同募集であること「のみ」を理由とする固定は、「適切とはいえない」と明確です。
なお、共同募集の実務とリスクについてこちらの保険毎日新聞連載の解説記事(上)、(下)も併せて参照すると理解が深まります。
- 扱う論点
- 共同募集は保険業法上、独立した募集形態として特別に規定されたものではなく、複数の募集人が関与する実務上の募集形態と位置づけられたこと。したがって各募集人が、権限明示・意向把握・確認・情報提供・比較推奨販売に係る説明の各義務を、それぞれ適時適切に履行する必要があること
- 共同募集を希望されたことのみを理由に比較対象を共通取扱社に固定する運用は、顧客の商品選択の機会を実質的に狭める場合には適切とはいえないこと
- 責任の所在は、各募集人の取扱保険契約・役割分担・顧客への説明や提案の実態を踏まえて個別具体的に判断されること(役割分担の明示だけでは決まらない)
- 平成26年改正パブコメNo.195(4)の射程
1 共同募集は保険業法上、独立した募集形態として特別に規定されたものではなく、複数の募集人が関与する実務上の募集形態と位置づけられたこと。したがって各募集人が、権限明示・意向把握・確認・情報提供・比較推奨販売に係る説明の各義務を、それぞれ適時適切に履行する必要があること
| №563 |
| Q 共同募集を行う場合に双方が乗り合っている保険会社の提案を行おうとしたが、非幹事代理店が乗り合っていない保険会社を提案した方が顧客の利益になることが判明した。その場合、非幹事代理店が取扱っていない保険会社を提案する必要があるのか。また、提案する必要がある場合、代理店分担をかけることができないが、共同募集先へ分担相当額の手数料を金員で支払うことは可能か。 |
| A 共同募集については、保険業法上、独立した募集形態として特別に規定されているものではなく、複数の保険募集人が関与する実務上の募集形態であると考えられます。したがって、共同募集を行う場合であっても、各保険募集人において、権限明示、意向把握・確認、情報提供、比較推奨販売に係る説明等、同法及び監督指針上で求められる義務を適時・適切に履行する必要があります。 このうち、意向把握を行う場合は、顧客の意向が募集過程において変わり得ることを踏まえつつ、共同かつ一連の保険募集の中で適切かつ丁寧に意向把握を行う必要があります。比較推奨販売を行う乗合代理店において、自ら取り扱う比較可能な同種の保険契約の中に、顧客の意向に適合すると判断される商品がある場合には、共同募集先が当該商品を取り扱っていないことのみを理由に、当該商品を比較・推奨の対象から除外することは適切とはいえません。 また、共同募集先が取り扱わない保険契約を提案する場合における金員の支払いについては、当事者間において判断されるべき事項であり回答することは困難です。いずれにしても、共同募集の枠組みを用いて顧客の適切な商品選択の機会を阻害し、又は比較推奨販売規制を潜脱するようなものであってはならないと考えます。また、関係法令及び監督指針を遵守し、公正な保険募集を確保することが重要であると考えます。 |
共同募集の場合は、各保険募集人において、権限明示、意向把握・確認、情報提供、比較推奨販売に係る説明等、同法及び監督指針上で求められる義務を適時・適切に履行する必要が確認されました。
特に役割分担の中で、意向把握を担う代理店は「顧客の意向が募集過程において変わり得ることを踏まえつつ、共同かつ一連の保険募集の中で適切かつ丁寧に意向把握を行う必要があります」とされました。
2 共同募集を希望されたことのみを理由に比較対象を共通取扱社に固定する運用は、顧客の商品選択の機会を実質的に狭める場合には適切とはいえないこと
| №558 |
| Q 乗合代理店と保険会社又は当該保険会社の専属代理店(以下「専属代理店」という。)が乗合代理店の顧客(乗合代理店が案内する時点では保険会社や専属代理店の顧客ではない前提)に対して、共同で保険募集を行うことを想定しているケースにおいて、まず、乗合代理店が当該顧客に対して共同募集による案内の意向の有無を確認し(適切に権限明示を行う前提)、当該顧客から、その意向が確認できた場合には、当該乗合代理店と当該保険会社又は当該専属代理店が共通して取り扱う保険契約を募集することができるという理解でよいか。 |
| A 共同募集を希望する旨の顧客の意向が確認された場合であっても、そのことのみをもって、比較推奨販売の対象を共同募集により取り扱う保険契約に限定できるものではありません。 顧客の意向把握に当たっては、共同募集の方法に関する意向だけでなく、保障(補償)内容、保険料水準等、保険契約の選択に関する顧客の具体的な意向を把握する必要があります。 その上で、当該顧客の意向が、保険会社又は専属代理店との共同募集により取り扱う特定の保険契約に係るものであることが明確である場合には、その意向に沿った対応が考えられます。 一方、比較推奨販売を行う乗合代理店において二以上の比較可能な同種の保険契約が存在する場合には、共同募集の形式により比較対象を不当に限定することなく、顧客の意向に沿った適切な選別・提案を行う必要があります。 |
共同募集を希望されたことが確認された場合であっても、そのことのみをもって比較推奨販売の対象商品を限定できないことが明らかになりました。
ほかにも専属代理店を先行させた場合について、「 共同募集における比較推奨販売の要否については、専属代理店、又は乗合代理店のいずれが先に顧客対応を行ったかのみで決まるものではなく、各代理店の顧客の意向形成への関与の度合い、顧客への説明・提案の実態等を踏まえて個別具体的に判断されます。顧客が専属代理店から説明を受けたことのみをもって、直ちに当該保険会社の商品を希望する意思が明確になったとはいえず、その後、乗合代理店が比較推奨販売に関与する場合には、当該乗合代理店が取り扱う比較可能な同種の保険契約を前提に、顧客の意向に沿った適切な選別・提案を行う必要があります。したがって、専属代理店を先行させることにより、乗合代理店に係る比較推奨販売規制を回避し得る運用が行われる場合には、規制の潜脱として問題となり得ます。」(№561)が重要です。
3 責任の所在は、各募集人の取扱保険契約・役割分担・顧客への説明や提案の実態を踏まえて個別具体的に判断されること(役割分担の明示だけでは決まらない)
| №564 |
| Q 1.取り扱い会社数の多い代理店の説明責任について 複数の代理店が共同募集を行う場合、各代理店が取り扱う保険会社数に差異があるケースが想定される。 例えば、A代理店が10社を取り扱い、B代理店が3社を取り扱う場合、A代理店はより多くの選択肢を顧客に提供できる立場にある。 このような状況においては、取扱会社数の多い代理店が、代理店登録者としての責任に基づき、自ら顧客に対して直接商品説明を行うべきであると考える。 顧客本位の原則に照らすと、最も広い選択肢を提供できる代理店が説明を行うことが、顧客の最善利益に最も適うためである。 2.取り扱い会社数の少ない代理店の位置づけについて 一方で、取扱会社数が少ない代理店が共同募集に参加する場合、その代理店が提供できる選択肢は限定的であり、顧客にとって最適な商品が含まれない可能性がある。 その結果として契約に至らない場合は、市場競争の結果として当該代理店が甘受すべきものと考える。 顧客本位の原則は、代理店間の収益機会の均等よりも、顧客に最適な選択肢が提示されることを優先すべきであるためである。 3.共同募集における説明主体の明確化について 共同募集において、取扱会社数の少ない代理店が説明主体となることで、本来提示できたはずの選択肢が顧客に届かない場合、顧客の最善利益義務に反する可能性がある。 したがって、共同募集における説明主体は、取扱会社数の多い代理店が担うべきであるという点を、監督指針またはQ&A等で明確化いただきたい。 |
|
A 貴重なご意見として承ります。 共同募集における説明責任の所在については、取扱保険会社数の多寡のみで決まるものではなく、各保険募集人の顧客の意向形成への関与の度合い、顧客への説明・提案の実態等を踏まえて個別具体的に判断されます。いずれにせよ、共同募集においても、顧客の適切な商品選択の機会が実質的に確保されるよう、各保険募集人の役割分担を明確にし、顧客に分かりやすく説明することが重要です。 |
共同募集における説明責任の所在については、取扱保険会社数の多寡のみで決まるものではなく、各保険募集人の顧客の意向形成への関与の度合い、顧客への説明・提案の実態等を踏まえて個別具体的に判断されることとなりました。共同募集の役割分担にかかる契約書における分担割合を決める際に、これらの要素を勘案したものにすることが必要と考えます。
4 平成26年改正パブコメNo.195(4)の射程
| №101 |
| Q 保険業法施行規則第227条の2第3項第4号ロ(以下、ロ方式とする。)の一般的な考え方については、改正府令の条文に反しない限り「「平成26年改正保険業法(2年以内施行)に係る政府令・監督指針案」に対するパブリックコメント結果等について」における「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」No.195を継承しているという理解でよいか。 例えば、共同募集を行う場合には、両募集人が共通して取り扱う保険契約のみ取り扱うことができると理解している(同パブリックコメントNo.195参照)。乗合代理店は、社内規則により共同募集のみを行う取扱保険契約をあらかじめ絞り込まない限り、実態上取り扱うことができない保険契約であっても情報提供義務の規制がかかり、提案の理由を説明しなければならないという理解でよいか。 また、顧客の意向に沿って保険契約を選別し、提示・推奨する保険契約の概要を説明する場合において、「顧客の意向に沿った絞り込みではなく、共同募集では取り扱うことができない保険契約」についても概要を説明する必要があるのか。 「社内規則」とは、社内の「規則」類を制定するにあたり、所要の決定手続きを経ていないマニュアル類や当該部署限りでの決定も含まれると理解してよいか。ロ方式において情報提供すべき「顧客の意向に沿って選別」した保険契約の概要とは、「顧客の意思に適合する形で選別がなされている限り、さらなる選別は許容される」という趣旨の理解でよいか。 |
|
A 本改正は、「「平成26年改正保険業法(2年以内施行)に係る政府令・監督指針案」に対するパブリックコメント結果等について」における「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」 したがって、共同募集であることや、手数料配分・業務分担等の代理店側の事情を理由として、顧客の意向に先立ち比較推奨販売の対象を共通取扱商品に限定することは適切ではありません。 把握した顧客の具体的な意向を踏まえて、当該意向に適合する範囲で保険募集人が合理的な絞り込みを行うことは妨げられないものの、保険業法施行規則第227条の2第3項第4号ハの廃止に伴い、 |
平成26年パブコメ№195(4)の読み方について、今回「把握した顧客の具体的な意向を踏まえ、共同募集により取り扱う保険契約が選定されたことを前提として、当該共同募集において取り扱うことのできる保険契約は、両代理店において共通して取り扱われる契約に限られることを明らかにしたものであり、比較推奨販売の対象を一律に共同募集に係る保険契約に限定することまでを許容する趣旨ではありません。」と補足されました。共同募集であることや、手数料配分・業務分担等の代理店側の事情を理由として、顧客の意向に先立ち比較推奨販売の対象を共通取扱商品に限定することは適切ではないと明記されましたので、これまでの運用を見直すことが必要となる代理店も多いと思われます。
執筆者プロフィール

-
株式会社Hokanグループ 専門役員グループCPAO
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
hokan®︎の資料はこちら!