コラム
【超速報】比較推奨販売に関するパブリックコメントを読む②_ 比較の母集団はどこで決まるか

比較推奨販売における「二以上の比較可能な同種の保険契約」の範囲は、乗合代理店の意思のみでは決まりません。たとえば、「現在、A保険会社で委託を受けている商品は10商品あるが取り扱っているのは新商品1種類のみである」
これは多くの代理店に当てはまる状況だと思います。ではハ方式廃止後、比較の対象は新商品のみでいいのでしょうか。この検討の出発点は代理店委託契約であって、実績ではありません。
- 扱う論点
- 母集団の出発点は代理店委託契約(およびこれに基づく覚書等)であること
- 「同種」該当性は、対象リスク・給付/補償内容・契約特性等を踏まえ、一般人の合理的な期待を基準として、個別具体的かつ実質的に判断されること
- 単独での取扱実績がないこと、事務のみを担っていること、単独で取り扱う方針がないことは、母集団から外す理由にならないこと
1 母集団の出発点は代理店委託契約(およびこれに基づく覚書等)であること
| №39 |
| Q 保険業法施行規則第227条の2第3項第4号ロにおいて、「二以上の所属保険会社等を有する保険募集人が取り扱う保険契約」とあるが、改正案における「保険募集人が取り扱う保険契約」の解釈をお示しいただきたい。 基本的には、委託契約で販売が認められている保険契約を「取り扱う保険契約」と解釈するのが自然であり、顧客へ権限明示を行うこととの関係でも自然であると思われるが、例えば、乗合代理店が売れ行きの悪い保険契約の取扱いをしないと独自に決めて顧客へ提示しないといった行為や、保険会社との何らかの関係性を重視し他の保険会社の保険契約を売らない(取り扱わないと整理する。)といった行為を、「保険募集人が取り扱っていない」と解釈することは顧客本位の業務運営上疑義があると考えるが如何か。 |
| A 貴見のとおりです。 ご指摘のように、乗合代理店の判断のみにより、乗合代理店の都合や保険会社との関係性を理由として、取扱保険会社や保険契約を恣意的に限定し、顧客の適切な商品選択の機会を実質的に阻害する業務運営は、適切ではありません。 保険業法施行規則第227条の2第3項第4号ロにおける「取り扱う保険契約」とは、所属保険会社等との代理店委託契約又はこれに基づく覚書等により、当該代理店が取り扱うこととされている保険契約を指すものであり、「二以上の比較可能な同種の保険契約」についても、当該委託契約又はこれに基づく覚書等により、当該代理店が取り扱うこととされている保険契約を前提に判断されます。 その上で、保険会社と乗合代理店との間で当該委託契約又はこれに基づく覚書等により取り扱う保険契約を限定する場合であっても、顧客本位の業務運営の確保を目的とする合理的な理由なく、形式的な委託範囲の限定を行うことにより、保険会社からの便宜供与等の見返りとして、特定の保険会社の保険契約を優先的に取り扱うなど、顧客の適切な商品選択の機会を実質的に阻害するおそれのある業務運営を行う場合には、比較推奨販売規制を潜脱するものとして問題となり得ます。 また、顧客に対しては、権限明示を適切に実施するとともに、当該限定を行う場合には、当該乗合代理店が取り扱う保険契約の範囲について誤認を与えないよう、適切に説明することが重要です。 |
| №347 |
| Q 乗合代理店が特定の商品を一部の組織(支店・営業部等) ・保険募集人に限定して取り扱わせる場合においては、委託契約の在り方によっては、所謂、「テリトリー制」を実質的に存続させ、権限明示や比較推奨販売の形骸化にも繋がり得るため、取扱いを限定するより合理的な理由が認められること(特定の商品を取り扱う場合には資格取得が必要である等)、かつ、乗合代理店の判断(社内規則等)のみではなく、保険会社と乗合代理店の委託契約書(委託契約書に基づく覚書を含む。)で定めること、かつ、特定の商品の取り扱いが認められない他の組織(支店・営業部等) ・保険募集人が当該商品を取り扱うことがないような措置を講じることが必要である、という理解でよいか。 なお、保険会社から乗合代理店への便宜供与の見返り等として特定の保険会社の商品を推奨するために、乗合代理店が取り扱う商品を限定することは、顧客の適切な商品選択の機会を確保する観点から適切ではない、という理解でよいか。 |
| A 貴見のとおりです。 顧客本位の業務運営の確保を目的とする合理的な理由により乗合代理店が特定の保険契約を一部の組織又は保険募集人に限定して取り扱わせる場合であっても、当該限定を行うことにより、保険会社からの便宜供与等の見返りとして、顧客に対して特定の保険会社の保険契約を優先的に取り扱うなど、顧客の適切な商品選択の機会を実質的に阻害するおそれのある業務運営が行われ、比較推奨販売規制の潜脱とならないよう留意する必要があります。 その上で、資格要件、専門性、管理態勢等の合理的な理由により、取扱範囲を限定する場合には、所属保険会社等との代理店委託契約又はこれに基づく覚書等により、その具体的範囲を明確に定めることが必要です。 また、取扱いが認められない組織又は保険募集人が当該保険契約を誤って募集しないよう、システム制御、資格管理、募集書類の管理等により、保険会社及び乗合代理店において実態に即して実効的に管理することが重要と考えます。 |
| №490 |
| 保険募集人に対する教育や実務工数の増加など、比較推奨への対応負担が大きくなった場合には、取扱保険会社数の見直しも検討せざるを得ないと考える。一方で、既契約がある顧客に不利益が生じないように配慮する必要があるため、これまでの保険会社数を取り扱う保険募集人(募集拠点)と、限定した保険会社数を取り扱う保険募集人(募集拠点)を分けて運用することが可能となるなど、柔軟な制度設計・運用が認められることが実務の実態や顧客利益の観点から有用であると考える。 |
| 貴重なご意見として承ります。 比較推奨販売の対象となる保険契約は、代理店委託契約又はこれに基づく覚書等により、当該代理店が取り扱うこととされている保険契約を前提に判断されます。 したがって、取扱範囲を限定する場合には、代理店の内部判断のみではなく、所属保険会社等との間で、対象となる保険契約、保険種類、既契約対応の範囲等を代理店委託契約又はこれに基づく覚書等により明確にし、実効的に管理する必要があります。 一方で、当該限定が、比較推奨販売規制の潜脱や、保険会社からの便宜供与等の見返りとして、顧客に対して特定の保険会社の保険契約を優先的に取り扱うといった運用の実質的存続、顧客の適切な商品選択の機会を阻害するものと評価され得る場合には問題となり得ます。 なお、顧客に対しては、権限明示を適切に行うとともに、顧客の誤認防止の観点から、取り扱う保険会社・保険契約の範囲について誤認を与えないよう、適切に対応する必要があります。 |
比較推奨販売の対象となる保険契約は、代理店委託契約またはこれに基づく覚書等により、当該代理店が取り扱うこととされている保険契約を前提とします。
取扱範囲を限定する場合には、代理店の内部判断のみではなく、所属保険会社等との間で、対象となる保険契約、保険種類、既契約対応の範囲等を代理店委託契約又はこれに基づく覚書等により明確にし、実効的に管理する必要があります。
限定する場合には、顧客本位の業務運営の確保を目的とする合理的な理由が必要で、その合理的な理由の一例として、資格要件、専門性、管理態勢等の合理的な理由により、取扱範囲を限定する場合には、その具体的範囲を明確に契約に落とし込み、取扱いが認められない組織又は保険募集人が当該保険契約を誤って募集しないよう、システム制御、資格管理、募集書類の管理等により、保険会社及び乗合代理店において実態に即して実効的に管理することが求められます。
また、顧客に対しては、権限明示を適切に行うとともに、顧客の誤認防止の観点から、取り扱う保険会社・保険契約の範囲について誤認を与えないよう、適切に対応する必要があります。
2 「同種」該当性は、対象リスク・給付/補償内容・契約特性等を踏まえ、一般人の合理的な期待を基準として、個別具体的かつ実質的に判断されること
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比較可能な同種の保険契約については、平成26年のパブリックコメントが維持されました。
そのうえで、「主契約程度の意向の共通性が手がかりとなり得ますが、最終的には、顧客の具体的な意向、保険契約の対象となるリスクの種類及び保険給付の内容、保険契約の特性・類型等を踏まえつつ、実質的に判断されるべきものと考えます。」(№325)とされました。なお、「事故対応やアフターフォローについては、一般に、対象リスクや保険給付・保障(補償)内容とは性質を異にするため、「同種」該当性を判断する際の主たる要素となるものではない」とされました(№455)
3 単独での取扱実績がないこと、事務のみを担っていること、単独で取り扱う方針がないことは、母集団から外す理由にならないこと
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代理店委託契約上取り扱うことが可能な保険契約については、共同募集において、単独で取り扱った実績がないことや、自社が事務のみを担うことや、単独募集で取り扱う方針がないことを理由に、直ちに比較推奨販売の対象外とすることは適切ではありません(№557)とされました。
執筆者プロフィール

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株式会社Hokanグループ 専門役員グループCPAO
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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