コラム
【超速報】比較推奨販売に関するパブリックコメントを読む①_ハ方式廃止が確定。いつから変わるのか。

2026年8月28日、本日、金融庁からパブリックコメントの結果が公表されました。保険業法施行規則227条の2第3項4号ハ、いわゆるハ方式は廃止されます。
店舗ごと・代理店ごとにあらかじめ取扱保険会社、保険商品を決めて販売する運営は、今後変更が必要です。
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出典:https://www.fsa.go.jp/news/r8/hoken/20260828/20260828.html
1 案文の修正・加筆について
パブリックコメントの結果、案文が修正・加筆された箇所があります。Ⅱ-4-2-9(5)①B.(a)です。
以下が今回修正された部分です。
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(a) 乗合代理店が二以上の比較可能な同種の保険契約の中から顧客の意向に沿って保険契約を選別し、一又は二以上の保険契約を提示・推奨する場合には、当該提示・推奨する保険契約の概要及び提示・推奨する基準や理由等を説明しているか。また、顧客の求めに応じて契約内容を説明しているか。 |
回答№70
同(a)の「顧客の求めに応じて」は、「契約内容」にかかるものであり、「提示・推奨する保険契約の概要」及び「提示・推奨する基準や理由等」については、顧客の求めの有無にかかわらず説明する必要があります。 なお、ご意見を踏まえ、上記趣旨がより明確となるようⅡ-4-2-9(5)①B.(a)を一部修正しました。
回答№444
商品特性等により特定の保険契約を推奨する場合における「商品特性等」とは、例えば、商品特性や保険料水準など客観的なものを指し、請求実務に精通しているといった乗合代理店による主観的又は属人的な理由は該当しないと考えられます。 なお、ご意見を踏まえ、Ⅱ-4-2-9(5)①B 「商品特性や保険料水準など」及びⅡ-4-2-9(5)①B(a) 「商品特性等」を修正いたしました。
上記のとおり、誤解や曲解を避けるように修正がなされました。
加筆された部分はⅡ-4-2-9(5)①B.(a)の注3です。
| (注3) 顧客の意向を把握することには、Ⅱ-4-2-2(3)①ア.(注2)のとおり、例えば、顧客属性や生活環境等に基づき推定するといった方法が含まれるが、当該方法を用いて、比較推奨販売に係る規定の趣旨・目的に反する対応が行われないよう留意する。 |
回答№307
乗合代理店において意向推定の方法を用いるとした場合には、複数の保険契約の中から選別・推奨が行われることとなるため、意向推定の合理性・妥当性が推奨販売の適切性に直結し得ることとなります。乗合代理店が当該方法を用いる場合には、こうした観点を十分に踏まえ、推定の確度を含め、その合理性・妥当性の確保について特に慎重な検討・判断が求められるとともに、その後の保険募集の過程において、顧客の意向を丁寧かつ明確に確認し、その結果に基づく適切な選別・推奨を行う必要があります。
乗合代理店においては、このように比較推奨販売に係る規定の趣旨・目的に沿った対応を行うことが重要であり、この点を明確化するために、「顧客の意向を把握することには、Ⅱ-4-2-2(3)①ア.(注2)のとおり、例えば、顧客属性や生活環境等に基づき推定するといった方法が含まれるが、当該方法を用いて、比較推奨販売に係る規定の趣旨・目的に反する対応が行われないよう留意する。」との記載を追記いたします。
2 施行日・経過措置・段階的施行の有無
今回公表されたパブリックコメントを受けて、ハ方式の廃止は1年半後の2028年3月1日とされました。

https://www.fsa.go.jp/news/r8/hoken/20260828/20260828.html
適用まで1年半の猶予があることになります。

3 パブリックコメントに寄せられた主な意見の例
① テリトリー制が顧客にとって優位なものであるとして、テリトリー制を存置するような業務運営を志向する意見
② 顧客の意向が不明確な場合、代理店が独自に考える推奨理由により推奨販売をしてよいかとの意見
③ 顧客が事故対応やアフターフォローを重視する意向を示した場合、募集人のこれまでの経験を基に特定の保険会社の商品を推奨してよいかとの意見
④ 比較推奨販売において事後検証を行うための記録の保存方法の確認を求める意見
⑤ 代理店手数料ポイント制度が比較推奨販売を阻害しかねないとの意見
⑥ ハ方式の廃止に伴い、乗合代理店では比較推奨販売に関する業務負荷が高まることを懸念する意見
これらのの意見については、以下の金融庁からの回答を確認しておくことが有益です。
①テリトリー制が顧客にとって優位なものであるとして、テリトリー制を存置するような業務運営を志向する意見について
| №730 |
| Q ディーラー代理店において、顧客は自動車の購入と同時に必要な任意保険を契約しており、万が一に備える保険本来の姿を実現することができていることが評価され、ディーラー代理店におけるシェアは高くなっていると認識している。 また、ディーラー代理店にとっては、大切な顧客とのトータルな付き合いを深める中で、自動車保険の業務は必須であると認識している。 以下に記載した5点のとおり、保険業法施行規則第227条の2第3項第4号ハ(以下、ハ方式とする。)は非常に効率的かつ合理的な制度であった。 ①ディーラー代理店では、顧客との信頼関係が既に築かれているケースがほとんどで、複数の保険商品の中からディーラー代理店が自信を持って選択した商品をお奨めすることができ、それが顧客にも喜ばれている ②相乗りの保険会社のそれぞれと緊密な関係を保つ中、それぞれの保険会社から営業に有用な提案があり、自社の保険実績の向上に役立てているところ ③顧客との関係性が強いので、条件変更等の新たなご希望があってもすぐに対応可能 ④新商品等への顧客からのご要望に対しても、乗り合いのため複数の保険会社の商品でもすぐに対応可能 ⑤ディーラー代理店に複数の保険会社が乗り合うことで、万が一の保険トラブル時におけるリスクに対応することできる 今般の損害保険業界の不祥事の真因は「テリトリー制」ではなく、当該大規模代理店と、該当保険会社の悪質なコンプライアンス違反であり、「テリトリー制」がなくなっても、詐欺まがいの刑事事件が発生しうる余地は残るものと考えている。 今般の改正は、長年培ってきた「テリトリー制」の長所を全く無視した対応と言わざるを得ない。 また、代理店からの推奨を期待している契約者から、推奨する保険会社を選定するための意向を引き出すことは全く必要ないのではないか。 さらに、継続率が90%を超える実績がある代理店において、顧客に改めて保険会社を選択していただく必要はない。 顧客のパートナーを目指す自動車販売を主たる事業とするディーラー代理店こそ保険事業の健全な運営において不可欠であり、代理店に対して厳格な募集行為を求めることにより、契約に関する諸手続きが繁多となり、結果的に顧客の実情にそぐわないネット販売の推奨につながりかねない。 以上より、以下の内容を要望する。 ①ハ方式での募集行為の復活・容認 ②顧客からの要望聴取の簡素化 代理店を規模(大・中・小程度)、板金部門の有無等により層別し、より現実的な募集方法となるようお願いしたい。 |
| A 貴重なご意見として承ります。 今般の監督指針改正は、乗合代理店における比較推奨販売について、代理店側の都合や保険会社との関係により、顧客の意向に沿わない保険契約が選別され、提示・推奨が行われることを防止し、顧客本位の保険募集を確保することを目的とするものです。 これまでも、保険募集人には、保険業法第294条第3項に基づき、保険募集に当たり、顧客に対して所属保険会社等の商号等を明らかにする権限明示義務が課されています。乗合代理店においても、顧客に対し、どの保険会社の商品を取り扱い、どの範囲で提案するのかについて誤認を与えないよう、適切に説明する必要があります。 また、保険募集人には、自らの所属保険会社等の商品について、顧客の最善の利益を勘案しつつ、公正な保険募集を行うことが求められます。そのため、保険契約者等の保護の観点から、自らの規模や業務特性に見合った教育・管理・指導、募集人配置、業務の引継ぎ体制、取扱範囲の明確化等の体制整備を図る必要があります。 |
②顧客の意向が不明確な場合、代理店が独自に考える推奨理由により推奨販売をしてよいかとの意見について
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③顧客が事故対応やアフターフォローを重視する意向を示した場合、募集人のこれまでの経験を基に特定の保険会社の商品を推奨してよいかとの意見について
| №74 |
| Q 現在の自動車保険について、保険会社の担当者に各社との違いを聞いても明確な回答が得られない状況である。各社の商品性に違いがほとんどない実態を踏まえると、現場の保険募集人が保険契約の比較説明をすることは困難と考えている。 顧客から「事故対応が良い会社」という意向が示され、1社を推奨した後、当該保険会社の対応に不満が出た場合、当該保険会社を推奨した乗合代理店の責任になるのか。その場合、乗合代理店は怖くてどこの保険会社も推奨できなくなってしまうのではないか。 また、保険料の安さを求める顧客には通販型や共済が最も良いのは明白であり、我々乗合代理店が存在する意味自体を否定しているように感じる。 |
| A 今般の保険業法施行規則及び監督指針改正は、乗合代理店における比較推奨販売について、代理店の都合や保険会社との関係により、顧客の意向に沿わない商品選別・提案が行われることを防止し、公正な保険募集を確保することを目的とするものであって、特定の募集方法を否定するものではありません。 特定の保険契約を提案すること自体が直ちに問題となるものではなく、顧客の意向を踏まえ、合理的かつ一定の具体性を有する基準や理由等に基づき説明されているかにより判断されます。 「事故対応が良い会社」といった意向については、保険募集人の主観的評価に基づいて説明するのではなく、商品特性や保険料水準について説明するとともに、事故受付時間、ロードサービス、事故後のサポート内容等、合理性・具体性を有し、顧客の比較判断に資する事項に即して説明する必要があります。 |
④比較推奨販売において事後検証を行うための記録の保存方法の確認を求める意見について
№160
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⑤ 代理店手数料ポイント制度が比較推奨販売を阻害しかねないとの意見について
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⑥ハ方式の廃止に伴い、乗合代理店では比較推奨販売に関する業務負荷が高まることを懸念する意見について
| №237 |
| Q 金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」で議論された「顧客が重視する項目を丁寧かつ明確に把握した上で、 顧客の意向に沿って保険商品を絞り込み、推奨すること」に沿った保険業法施行規則第227条の2第3項第4号ハ(以下、ハ方式とする。)の廃止については十分理解し、全く妥当であると受け止めている。 一方で、ハ方式の廃止に伴って、同号イ又は同号ロを採用することにより、保険業界全体で必要以上の業務量増加となることを懸念している。 特に、保険代理店における作業工数の増加及びその証跡の確保・管理等は、保険代理店のコスト増加につながることが想定され、ひいては代理店を管理する保険会社にとってもコスト増となり、最終的に保険購買者(契約者)の保険料負担増につながるおそれがある。 上記ワーキング・グループで議論された「顧客本位の業務運営の徹底」は論を俟ちませんが、そのために過剰な業務負担を課すことは保険業界全体の効率性向上の足かせとなる可能性があり、保険契約者(契約者)のコスト負担増、ひいては日本の保険業界の健全な成長にとっても望ましくないものと思われる。 以上を踏まえ、保険代理店における業務効率を勘案の上、弾力的かつ具体的なルールの策定・運用を保険会社に求めていただきたい。 |
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A 貴重なご意見として承ります。 比較推奨販売に係る体制整備については、顧客の最善の利益を勘案しつつ、顧客の適切な商品選択の機会を確保するため、乗合代理店の規模や業務特性等に応じて、自社の募集実務や募集形態等を踏まえた適切な比較推奨販売が実施されるよう実効的な体制が整備されることが重要であり、監督指針は、一律かつ画一的な対応や過度な実務上の負担を求める趣旨ではありません。 また、保険募集人(乗合代理店)には、法令に基づき、自らの所属保険会社等の保険商品について、顧客の最善の利益を勘案しつつ、公正な保険募集を行うことが求められています。そのため、保険契約者等の保護の観点から、自らの規模や業務特性に見合った体制整備を図ることが必要と考えます。 |
執筆者プロフィール

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株式会社Hokanグループ 専門役員グループCPAO
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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