コラム

2026年4月2日
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【速報⑦】(特定大規模乗合保険募集人関係)令和7年改正保険業法(1年以内施行)に係る「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等の公表について

監督指針の改正案に対するパブリックコメント(https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20260330-2/01.pdf)の続きです。

Ⅱ-4-2-15-1 特定大規模乗合生命保険募集人及び特定大規模乗合損害保険代理店に対する保険募集の委託・管理

№55

Q 乗合保険会社の委託方針がA社とB社で内容に相反があった場合、代申保険会社の方針を採用することで問題ないか。

A 委託方針については、その公表や代理店への開示が求められるものではありませんが、代理店委託契約を締結する保険会社がそれぞれ定めるものであることから、委託方針により求められる措置等についても、それぞれの保険会社の委託方針を踏まえて講じる必要があると考えます。 

代理店としては、それぞれの保険会社の委託方針に対応することが必要となります。

№61

Q Ⅱ-4-2-15-1 (1)②ア.に関して、策定した委託方針と保険代理店との委託契約との関係は、保険代理店との権利義務関係において委託契約が優先されるという理解でよいか。 例えば、保険代理店が設置する責任者が所定の資格要件を満たさない場合であっても、代理店委託契約の解約事由にはならず、Ⅱ-4-2-15-1 (1)②にいう「当該方針に沿った対応」とは、かかる状況を改善すべく保険代理店を指導すれば足り、直ちに問題視されることはないという理解でよいか。 

A 保険代理店との権利義務関係については、あくまでも代理店委託契約により生じるものと考えます。 ただし、保険会社は特定大規模乗合保険募集人への委託方針に沿った対応を実施する必要があることから、「特定大規模乗合保険募集人への委託に当たって、法令等遵守責任者や統括責任者に求める要件」の充足を含め、特定大規模乗合保険募集人が、委託方針を踏まえて求められる措置等を講じることができていない場合には、改善に向けた指導を行うとともに、改善が図られない場合には所要の対応を行う必要があると考えます。 

委託方針に則った対応を特定大規模乗合保険募集人に求めることから、直接代理店委託契約に記載されていない事項であっても、改善に向けた事項と必要な対応(覚書の作成など)が求められます。

№65

QⅡ-4-2-15-1(1)②).の「法令等遵守責任者や統括責任者に求める要件」について、以下の理解でよいか。

・生命保険協会・損害保険協会が実施する法令等遵守責任者等資格試験に合格・資格取得していることをもって判断することが考えられる。

・なお、特定大規模乗合生命保険募集人が保険会社である場合、保険会社は法令に基づき代理店の管理・指導を担う立場であることを踏まえて、上記試験への合格・資格取得を必要とはしない。 

A「法令等遵守責任者や統括責任者に求める要件」については、法令等遵守責任者及び統括責任者として「法令や保険契約に関する知識等を有する人材」が求められていることを踏まえる必要があると考えます。 その上で、これを確認する手段としては、金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」において、「法令等遵守責任者及び統括責任者には、一定の資格要件を求めることとした上で、そのための試験制度を新設すること」とされたことを踏まえると、一定の公共性を有し、かつ、全国規模で相当程度の人数を有する団体が、法令等遵守責任者及び統括責任者としての能力を問う目的で実施する客観性・公平性が確保された試験の合否によることが、有効な選択肢として考えられます。 なお、特定大規模乗合保険募集人が保険会社である場合については、保険代理店の教育・管理・指導を担う存在である保険会社として、保険代理店の教育・管理・指導等に関する知識・経験を有する社員の選任を含め、所要の措置を講じることにより、上記の試験合格者と同等の能力を有する人材の選任を確保する限りにおいては、当該社員の知識・経験や能力を個別に確認する必要はあるものの、上記の試験自体の合否によらずに法令等遵守責任者及び統括責任者に選任することも、一概に否定されるものではないと考えます。

特定大規模乗合保険募集人の法令等遵守責任者、統括責任者に求める要件について、生保協会・損保協会の試験を活用することが考えられます。また、特定大規模乗合保険募集人が保険会社である場合には、別の方法でも試験合格者と同等の能力を持っていることを確認できればよいとされました(№108)。

また、「当該試験に関して、特定大規模乗合損害保険代理店又は特定大規模乗合生命保険募集人のいずれかのみに該当している場合においては、該当する区分のために準備された試験とすることにも合理性が認められる」(№66)とされました。

なお、№94~99などによれば、さらに「代理店委託契約を締結している保険会社が、特定大規模乗合保険募集人への委託方針において定めている「特定大規模乗合保険募集人への委託にあたって、法令等遵守責任者や統括責任者に求める要件」も踏まえる必要がありますが、これらに加えて、必要に応じてコンプライアンス・監査部門等での業務に従事した経験を有する者を選任することも、法令等遵守責任者の職務の実効性を確保する観点からは望ましいものと考えます。」として、2線、3線での業務経験があることが望ましいとされています。 

№73

QⅡ-4-2-15-1 (1)③においては、管理責任者の要件として、「コンプライアンス部門や監査部門での業務や代理店監査等に従事した経験を有することが望ましい」とされているが、これらの列挙されている部門・業務の経験は、あくまで例示であり、業務上の適性があれば、必ずしもかかる経験を有する必要はないという理解でよいか。 

A管理責任者には、統括責任者を主たる相手方として、特定大規模乗合保険募集人の法令等遵守態勢や法令等遵守状況を確認・検証し、保険会社による教育・管理・指導の実効性を向上させることが求められる点を踏まえれば、その選任に当たっては、管理責任者としての業務上の適性に加えて、職務経験等も考慮することが望ましいと考えます。 

保険会社における管理責任者の要件として、業務上の適正だけでなく、職務経験を考慮することが改めて確認されています。なお、「当該保険会社以外の組織におけるこれらの経験も含まれる」ものとされました(№75)

Ⅱ-4-2-15-3 特定大規模乗合保険募集人の保険募集に係る法令等遵守責任者等

№88

Q同一建物内に所在する複数の営業所や同一地区に所在する複数の営業所の「法令等遵守責任者」について、同一人物が兼ねることは許容されるか。 法令等遵守責任者としての業務の実施に支障を及ぼすおそれがない限り同一人物の兼務が許容されるとした場合、どの程度の営業所数や在籍募集人数までであれば同一人物の兼務が許容されるか。 

A御質問の点については、「法令等遵守責任者としての業務の実施に支障を及ぼすおそれがない」かという観点から、法令等遵守責任者が担当する営業所又は事務所の数や規模、当該営業所又は事務所における契約件数、当該営業所又は事務所に所属する保険募集人の数、営業所又は事務所間の地理的近接性等の要素も踏まえつつ、法令等遵守責任者としての業務が実効的に実施可能であり、役割や職責を十分に果たすことができるかに照らして、個別具体的に判断する必要があると考えます。 なお、委託元保険会社においても、複数の営業所又は事務所間の兼務の状況も含め、法令等遵守責任者が、その役割や職責を十分に果たし、業務を実効的に実施できているかについては、統括責任者を主たる相手方として行う法令等遵守体制や法令等遵守状況の確認・検証のほか、代理店監査や日常的な教育・管理・指導等を通じて定期的に確認し、不十分であると認められる場合には是正に向けた指導等を行う必要があると考えます。 

法令等遵守責任者の兼務状況について、定量的な回答は出ませんでした。委託元保険会社に対しても、法令等遵守態勢や遵守状況の確認に加え、定期的な確認と是正に向けた指導等が求められています。

№111

QⅡ-4-2-15-3(2)について、同じ企業グループ内に複数の保険代理店がある場合、そのうちの一つの保険代理店の統括責任者がグループ内の他の保険代理店の統括責任者になることは可能か。 

A当該特定大規模乗合保険募集人の法令等遵守責任者の指揮や役員・使用人に対する必要な助言又は指導のほか、情報管理を含めた適切な態勢整備が可能であり、統括責任者としての業務の実施に支障を及ぼすおそれがない限りにおいては、御質問のような対応も否定されるものではないと考えられます。 ただし、同じ企業グループ内の他特定大規模乗合保険募集人の統括責任者を統括責任者に任命する場合であっても、体制整備義務は当該特定大規模乗合保険募集人に生じることを踏まえ、特定大規模乗合保険募集人として、上記の態勢整備が可能であるかについては慎重に検討する必要があると考えます。

同一グループ内で複数の保険代理店の統括責任者になることも否定はされませんでしたが、代理店ごとに非常に重たい体制整備義務が課されていることから、慎重に検討することが求められています。

№113

Q統括責任者の設置要件に「営業部門からの独立性を確保」とあるが、保険担当部門の責任者は本要件に合致するとの理解で良いか。

A御質問の「保険担当部門」が、当該部門において保険募集を行っているのであれば、「営業部門」に該当することとなり、当該部門の責任者が統括責任者となることは不適当であると考えます。 

営業部門からの独立性について、当該統括責任者が所属している部門において保険募集を行っていないことがもとめられます。

№114

QⅡ-4-2-15-3(2)に記載のある統括責任者は、保険募集に現に従事していないことを前提に、たとえばコンプライアンス部門と内部監査部門を兼務している等、本社部門間の兼務は認められるという理解でよいか。 

A統括責任者については、原則としてはコンプライアンス部門等の責任者や担当役員の地位にある者を選任することを想定していますが、統括責任者としての業務を適切に実施することができる管理的又は監督的地位にある限り、保険募集に現に従事していないことが前提としつつも、その他の役職にある者を選任することも否定されるものではないと考えます。 ただし、この場合であっても、コンプライアンス部門や監査部門での業務に従事した経験を有する者を選任することが望ましいと考えます。 その上で、統括責任者と「内部監査を定期的に行うための責任者」との兼務についても、必ずしも禁止するものではありませんが、コンプライアンス部門と内部監査部門の間での相互牽制も含め、各部門の機能が有効に発揮される態勢整備が可能であるかとの観点から、慎重に検討する必要があると考えます。 

人員確保の観点から兼務についての質問が多いですが、統括責任者と内部監査を定期的に行うための責任者については否定はされないまでも消極的な回答となりました。

Ⅱ-4-2-15-5 兼業特定保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店が講ずべき態勢整備等(規則第227条の20関係)

№127

Q兼業特定保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店は、自動車修理業務が保険会社の保険金支払いに不当な影響を及ぼさないよう、確認・検証する責任者や必要な人員配置等の体制整備が求められている。 別途設置が求められている統括責任者及び法令等遵守責任者の役割には、本確認・検証業務は含まれていないとの理解でよいか。 監視部署に求められる定期的な調査・検証の範囲および深度、方法等について留意すべき事項があれば御教示いただきたい。

A貴見のとおりです。 なお、Ⅱ-4-2-15-5(1)で定める、「保険金の支払に不当な影響を及ぼさないよう、その確認・検証を行う責任者」及び当該責任者が所属する部署に求められる調査・検証の範囲としては、例えば、自動車修理業務全体に関して、異常値の分析を踏まえた無予告での自動車修理業務の現場確認等、深度ある方法を総合的に組み合わせ、実効性のある監視体制を構築する必要があると考えます。 

自動車修理業に対する調査の範囲として、異常値の分析を踏まえた無予告での現場確認などが求められています。

Ⅱ-4-4-3 保険金等支払管理態勢

№140

Q生保・損保の区分を問わず、委託元保険会社は、これら兼業代理店が利益相反や主業の優越的地位を不適切に利用した募集を行わないよう、代理店の体制整備状況(法令遵守・情報管理体制等)を確認・指導する責任を負うという理解でよいか。 また、税理士法人等が、顧問契約を背景に「税理士法人の社員・親族等が設立した別法人の代理店」への加入を推奨し、実務上、顧問料調整等で実質的に利益を還元する行為は、改正後の「特別利益の提供」の禁止に抵触し、保険会社による厳しい監視対象となるという理解で相違ないか。あるいは、今回は、主に大規模な自動車修理業を営む損害保険代理店における保険金支払との利益相反に限定した措置という理解か。 

A御指摘の「利益相反や主業の優越的地位を不適切に利用した募集」の意味するところが明らかではないため、回答することは困難ですが、一般論としては、生命保険会社及び損害保険会社は、いずれも委託先の保険代理店が不適切な募集を行うことのないよう、適切に教育・指導・管理を行う必要があると考えます。 また、御指摘のような、「税理士法人等が、顧問契約を背景に「税理士法人の社員・親族等が設立した別法人の代理店」への加入を推奨し、実務上、顧問料調整等で実質的に利益を還元する行為」については、個別具体的なケースによるものの、保険業法施行規則第234条第1項第1号に照らして、Ⅱ-4-2-2(8)を参考に、特別利益の提供への該当性について検討する必要があると考えます。 

税理士法人等に関する論点が出てきています。保険会社や代理店は、顧問料の支払い方法などについて、「税理士法人等が、顧問契約を背景に「税理士法人の社員・親族等が設立した別法人の代理店」への加入を推奨し、実務上、顧問料調整等で実質的に利益を還元する行為」にあたらないか、改めて特別利益の提供への該当性について注意が必要です。

執筆者プロフィール

中村 譲
中村 譲
株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長

2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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