コラム

2026年4月1日
Twitter Facebook LINE

【速報⑥】(特別利益の提供の禁止関係)令和7年改正保険業法(1年以内施行)に係る「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等の公表について①

今回から以下の事項に対する監督指針の改正案に対するパブリックコメント(https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20260330-2/01.pdf)です。

速報③~⑤の内閣府令(保険業法施行規則)改正案が前提となります。

https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20260330-2/20260330-2.html

Ⅱ-4-2-2 保険契約の募集上の留意点 (8) 法第300条第1項第5号関係 

№4

Q 他業を兼業する保険募集人が他業の顧客に対して各種のサービスや物品等の提供を行う場合や、保険会社や保険募集人からの委託、又は、それに準ずる関係等にある第三者が同様に行う場合であっても、それらサービス等の費用を保険会社や保険募集人等が実質的に負担していたり、顧客への訴求方法等によって、保険契約の締結、又は、保険募集に関して行われたと認められる場合には、保険業法第300条第1項第5号または第9号に該当し得ると考えられるが、どうか。 

A 他業を兼業する保険募集人が、保険契約の締結又は保険募集に関し、Ⅱ-4-2-2(8)①に当たる取引やサービス ・物品の提供を行う場合、保険業法第300条第1項第5号の特別利益の提供に該当し得ると考えられます。 また、保険会社や保険募集人からの委託、又は、それに準ずる関係等にある第三者が取引やサ-ビス・物品の提供主体となる場合であっても、当該行為が特別利益の禁止規定を免れる行為に当たる場合には、同法第300条第1項第9号及び保険業法施行規則第234条第1項第1号に抵触し得ると考えられます。 

№16

Q 保険募集に関し、自動車修理業を兼業する保険募集人が行う保険契約者等の車両の修理や、住宅メーカーを兼業する保険募集人が行う保険契約者等の住宅の修理等を約することはⅡ-4-2-2 (8)①柱書に記載されている「取引等」に含まれうるものであり、有償で提供する場合はⅡ-4-2-2 (8)①ア.で、無償で提供する場合は同①イ.の各要件に照らし特別利益の提供の該非を判断する必要があるという理解でよいか。 

A 貴見のとおりです。 

「他業のサービス提供であるから」という理由だけでは、特別利益の提供の禁止の規制から対象外となるわけではないことが改めて確認されました。具体例は№16で回答されています。

№6

Q 自動車保険にドライブレコーダーを取り付ける際、取り付け費用及び役務を引受保険会社が負担する事は、保険契約に付帯されるサービスとみなし、「特別利益の提供(過度な便宜供与)に該当しない」という理解で良いか。 

A 貴見において想定されている場面が不明確ですが、対象サービスが「保険契約に付帯されるサービス」に該当する場合には、Ⅱ-4-2-2(8)①イに照らし、個別具体的に、特別利益の提供の該当性を判断する必要があります。 なお、「保険契約に付帯されるサービス」は保険会社が組成するものであり、対象サービスが 「保険契約に付帯されるサービス」に該当するか否かについては保険募集人が判断するものではありません。 

「対象となるサービスが「保険契約に付帯されるサービス」に該当する場合には、Ⅱ-4-2-2(8)①イに照らし、個別具体的に、特別利益の提供の該当性を判断する」とされました。この点は無償で役務提供を行う場合として判断されるということと思われます。また、付帯サービスは保険会社が組成するもので、保険募集人が判断する性質のものではないことが確認されています。

なお、付帯サービスについては様々な種類があり、考え方として、「例えば、保険契約者または被保険者に対して商品と一体で提供するサビスであり、その対価を保険料とは別に保険契約者から得ていないもの」をいうとされています(№35.36)

№19

Q Ⅱ-4-2-2(8)①ア.について、例えば、銀行の別働隊的な会社であって、不動産業等も兼営している保険募集人が、有力な取引先(保険取引先に限られず、不動産賃貸等の取引先を含む)との長期的な取引関係を考慮して、例えば、当該取引先が社会福祉法人から委託を受けた物品を、通常相場よりも相当高い値段で売ってくるのを買う(結果、社会福祉法人にお金が入る)といったことについて、対応せざるを得ない場合があった。 その時は、社会通念上儀礼の範囲内のものとして処理できると構成したが、今回の「ア.」の導入後も、そうした「寄附」に近い「取引」は「特別の利益」の提供に該当せず、許容されうる場合があるという理解でよいか。 

A 御指摘の状況の詳細が明らかではないものの、貴見のような長期的な取引関係を考慮した取引であることをもって直ちに特別利益の提供に該当するわけではありませんが、当該取引が、保険契約の締結又は保険募集に関し行われる場合、Ⅱ-4-2-2(8)①ア.に照らし、個別具体的に特別利益の提供の該当性を検討する必要があります。 

今後は保険契約者との対価性のある取引は、Ⅱ-4-2-2(8)①ア.に照らし、個別具体的に特別利益の提供の該当性を検討する必要があります。

№38

Q  事故防止・損害抑制に係るサービス(リスクサーベイの現地調査や交通安全講習会講師等を保険会社社員が務める等)は「特別利益の提供(過度な便宜供与)に該当しない」という理解で良いか。 

A 原則として、保険会社又は保険募集人が、保険契約の締結や、保険契約数又は保険引受シェアの調整の前提として、当該取引を行う場合には、取引上の社会通念に照らし不相当と考えます。 もっとも、Ⅱ-4-2-2(8)①ア.( 3)は、保険契約の締結等の前提として取引を行うことに合理性がある場合には、顧客本位の業務運営の観点から、当該取引が社会通念上必要であることが明らかであることを理由として、例外的に、妥当性が認められるケースを例示したものです。 そのため、事故防止・損害抑制に係るサービスであることのみをもってただちに特別利益の提供に該当しないわけではありません。 

№40

Q 保険会社が保険契約者・被保険者に提供する「事故防止・損害抑制に係るサービス」は有償で提供するものもあれば、無償で提供するものもある。有償で提供する場合は、Ⅱ-4-2-2 (8)①ア. ( 3)に照らし、無償で提供する場合は同 (8)①イ.に照らし、特別利益の提供の該非を判断するという理解でよいか。 

A 貴見のようなケースにおいては、有償で提供する場合は、Ⅱ-4-22(8)①ア.に照らし、無償で提供する場合は同(8)①イ.に照らし、特別利益の提供の該非を判断する必要があります。 

これらの回答は監督指針の誤解を防ぐ意味で重要です。

事故防止・損害抑制に係るサービスは、保険契約の締結等の前提であっても直ちにそのことをもって特別利益の提供に該当するわけではない、としたものにすぎず、そのサービス内容が社会通念上相当なものであるか等については検討が必要となります。

執筆者プロフィール

中村 譲
中村 譲
株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長

2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。

 

Twitter Facebook LINE
1分でわかる
hokan®︎の資料はこちら!

コラム一覧