コラム

2026年3月30日
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【速報②】保険代理店と保険仲立人の協業等に関する監督指針の改正案を見る

コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方(https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20260330-3/01.pdf)のつづきです。

保険仲立人に関する部分です。

1 Ⅴ-4-1 他の保険募集人との関係  (1) 保険募集の委託 

№32

Q 今般の協業の許容は、第一にそれにより顧客の利便の向上につなげることが目的であって、保険募集人が保険仲立人との協業により保険募集人に足りない機能や能力を補い顧客との取引関係の維持のみに資する協業は本旨ではないこと、第二に顧客の利便向上の為の協業であることを明確にするために、顧客の委託を起点に保険募集人の起用、業務役割分担とそれに応じた報酬割合等の調整が顧客主導で行われること、であると理解するが、この点についての行為規制が明示されていないが、どのようにして主旨の浸透を担保するのか。 

A 御質問の趣旨が明らかではありませんが、今般の監督指針改正は、金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」報告書における「保険仲立人の国内外の豊富なネットワ-クや専門的知見を活用し、顧客企業等に対して、より適切な保険プログラムの提供が可能となるよう、保険仲立人と保険代理店等の協業を認めるべき」との提言を受けたものです。 なお、保険募集人とは、保険会社等の委託を受けて保険契約の締結の代理又は媒介を行う者等をいいます。 また、同一契約の共同取扱いを行う場合には、業務分担の内容について、Ⅴ-4-1(2)①及び②の定めに則って、顧客又は保険会社等に説明し、同意を取得する必要があります。 

№34

Q Ⅴ-4-1(1)に関する今回の改正は、2024年12月24日付で公表された金融審議会(「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」報告書において、「保険仲立人と保険代理店等の協業を認めるべき」とされたことを受けたものと理解している。 かかる「協業」は、保険仲立人から保険代理店、あるいはその逆の「保険募集の委託」によることは引き続き認められないことを確認したい。

A 保険募集の再委託は、保険業法第275条第3項に基づき、内閣総理大臣の認可を受けない限り、禁止されています。 今般の監督指針改正により取扱いを明確化した「協業」においても、保険募集の再委託は認められません。 

№39

Q Ⅴ-4-1(1)の注において保険募集に該当しない事務手続を保険仲立人から保険募集人に委託することができることが明確化された。この取扱いは従来から認められてきたものと考えるが、追記した意図を確認したい。 また、ここでいう「保険募集に該当しない事務手続」とは、いわゆる募集関連行為や非募集行為等が該当すると理解してよいか。 保険仲立人が保険募集人に委託する「保険募集に該当しない事務手続」として、想定しているものがあれば例示いただきたい。 

A Ⅴ-4-1(1)の注書きを記載した趣旨は、保険募集に該当しない事務手続きについては、保険仲立人から保険募集人に委託できることを明確化する観点を踏まえてのものとなります。 また、「保険募集に該当しない事務手続き」は、様々なものがあり得るため、一概にお示しすることは困難ですが、例えば、保険仲立人が保険募集人に対し、募集関連行為等といった事務手続きを委託することは許容されるものと考えます。 

これらのQAは、保険仲立人と保険代理店が同一の保険契約について共同取扱いを行う際に重要なものとなります。両者の協力関係、役割分担として、募集の再委託にならないように注意しながら行っていくことが必要となります。

2 Ⅴ-4-1 他の保険募集人との関係 (2) 共同の行為 

№45

Q 保険仲立人の独立性に鑑み、保険仲立人等と保険会社とが共同して保険募集を行うことは想定し難いと考えるが、想定される事例があれば例示いただきたい。 

A 今後、保険会社等と保険仲立人の協業の可能性があると考えます。 例えば、保険仲立人が、保険商品の選択にあたって必要と判断する場合において、保険仲立人と保険会社が顧客に対し、共同して情報提供や説明を行いながら、最適な保険商品を提供することも考えられます。 

このAにあるのが保険会社と保険仲立人の共同募集として典型的な形(顧客のための商品選択を仲立人が行い、商品の説明を保険会社が行う)と考えられます。

№49

Q 保険仲立人が顧客から受領した媒介手数料の一部から、代理店手数料を支弁することは認められないと考えてよいか。 

A 同一契約の共同取扱の中で、保険仲立人が顧客から共同取扱にかかる保険募集に対する手数料を受領する場合であっても、代理店手数料については、顧客や保険仲立人からではなく、保険会社から支払われるべきと考えます。 なお、保険仲立人が顧客から受領した手数料から保険代理店に対して金銭を支払うことは、保険募集事務以外の手続に関する委託手数料を支出する場合を除き、保険募集の再委託の疑義が生じかねないため、望ましくないものと考えます。 

№71

Q 双方の立場や業務範囲に関する同意が得られるという前提にたっても、協業により保険契約が成約に至った場合に、保険仲立人宛報酬と保険募集人(代理店)宛報酬は、それぞれの業務範囲に基づいて、別々に保険会社(あるいは顧客)から支払われなければならないということを意味するのか。 それとも、どちらかが満額受領した手数料等を再配分する(集金事務の一環として)ということが認められるということか。

A 保険仲立人が、保険募集人等に対して、保険募集の対価として手数料等を支払うことや、保険募集人等が、保険仲立人に対して、保険募集の対価として手数料等を支払うことは、内閣総理大臣の認可を受けない限り、保険業法第275条第3項に違反するものと考えます。 

保険仲立人から代理店への金銭支払いについては、募集の再委託の疑義を招きかねないため、上記№71のように集金事務を代わりに行うことについてもリスクがあるのであって、非常にセンシティブな取扱いとなります。

№51

Q 1つのリスクに対するリスクマネジメントの解として、複数の保険を契約する場合、契約1を仲立人が媒介し、契約2を代理店が取り扱うようなケースが考えられる。これは、Ⅴ-4-1(2)にいう「同一契約の共同取扱い」に含まれないと理解してよいか。 

A 今般の共同取扱いは、一つの保険契約を対象とするものを想定しているため、御質問の事例は、「同一契約の共同取扱い」に含まれないものと考えます。 

保険仲立人と保険代理店で別々の保険契約を取り扱うケースは当然発生するものと考えられ、この場合は一つのリスクマネジメントプロジェクトの中であっても、同一契約の共同取扱いではないことが確認されています。№52でも、保険仲立人等がリスクマネジメント関連サービスのみを提供し、保険の媒介には携わらず、保険募集は保険募集人が全て講ずるようなケースについてはⅤ-4-1((2)にいう「同一契約にかかる共同取扱い」には該当しない理解でよいとされています。

№53

Q 保険仲立人がⅤ-4-1(2)にいう「同一契約の共同取扱い」を行う場合、契約者に提案できる保険会社が、共同取扱を行う保険代理店の所属保険会社に限定されることがあり得る。 この場合、保険仲立人の誠実義務、特にⅤ-5-3(2)の「自己が知り得る保険商品の中から顧客にとって最も適切と考えられるものを、理由を明らかにして助言するものとする」との規定に照らして留意すべき観点を確認したい。 

A 保険仲立人は、顧客にとって最適な商品を助言する義務が課せられているため、保険募集人等が仲立人の想定している保険商品を取り扱っていない場合には、同一契約の共同取扱いを行うことはできないものと考えます。 

この部分は非常に重要です。保険仲立人は、顧客にとって最善の商品を、自己の知り得る保険商品の中から助言する者であることから、協業関係にある代理店が取り扱う商品に、自身の想定している保険商品がない場合には、その商品を取り扱うことができないことが明らかにされました。

№54

Q Ⅴ-5-3(2)の趣旨を踏まえると、保険仲立人が保険募集人とⅤ4-1(2)にいう「同一契約の共同取扱い」を行う場合も、保険商品の選択に係る助言は必ず保険仲立人が行うことが求められるか。 

A 保険商品の選択に係る助言は、保険仲立人等が行うことを想定しております。 なお、場合によっては、保険仲立人等と保険募集人等が共同して行うことはあり得ると考えますが、その場合には、それぞれの助言の責任を顧客に明示の上、説明状況を記録しておく等、同助言の責任の主体を明確化することが必要であると考えます。 

協業を行う場合、「商品選択に関する助言」は保険仲立人が担当することが想定されていることが明確にされています。共同してアドバイスする場合には、助言の責任主体を記録することが求められます。

№76

Q 保険仲立人は制度上「顧客の代理人」であり、保険代理店は「保険会社の代理人」とされている。 立場の異なる保険仲立人と保険代理店において、契約の「分担」を解禁するという点について、現実的にどのような「分担」が想定できるのか教示願いたい。 

A 保険仲立人等と保険募集人等の業務分担の方法については様々なものがあり得るため、一概にお示しすることは困難ですが、例えば、保険契約締結に至るまでの媒介業務等を保険仲立人が行い、保険契約の締結に関連する業務を保険代理店が行うといった、業務分担等を行うことも考えられます。 

これらの業務分担について、事前に(これは保険募集を行う前とされています。№82)保険会社と顧客に説明し同意を得る必要があります。そうなると、媒介と代理の違い、業務分担の範囲など明確な線引きが求められてきます(№78、79など)が、これについては顧客側にも十分なリテラシーが必要になってきます。リスクマネージャーの存在が望まれるのはこういった理解を円滑に進める点にも求められます。

№91

Q Ⅴ-4-1(2)③において保険仲立人等と金融サービス仲介業者との間では「同一契約の共同扱い」を、同(2)⑤において保険募集人等と金融サービス仲介業者との間でも「同一契約の共同扱い」を許容しないことになっている。 「同一契約の共同扱い」を許容しないのであれば、「保険募集事務の一部の引継ぎ又は代行」も許容する必要はない。 しかし、保険仲立人と保険募集人との間では今般「同一契約の共同扱い」が許されるのだから、両者間での「保険募集事務の一部の引継ぎ又は代行」は実態的且つ効率的な実務において必要なものである。 同(2)④及び⑥でこれらが「原則として」禁止されているが、制度改正の主旨や目的に沿って協業を行うにあたっては「顧客の同意がある場合」であってそうした「協業に伴う保険募集事務の一部の引継ぎ又は代行」として「例外」に該当し禁止されるものではないと理解して良いか。 

A 保険募集の再委託は、保険業法第275条第3項に基づき、内閣総理大臣の認可を受けない限り、禁止されている行為です。「保険募集事務の一部の引継ぎ又は代行」は、保険募集に該当するような事務手続きを委託すること、すなわち、「保険募集の委託」の一類型であり、保険募集の再委託に該当する場合は、顧客の同意があっても認められません。 

実務上、非常によくある「顧客が希望しているから」という場合であっても、保険募集の再委託は法律上許容されていません。そのため、両社間での業務分担については慎重なかじ取りが求められます。

執筆者プロフィール

中村 譲
中村 譲
株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長

2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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