コラム
【速報⑦】(保険仲立人の活用)令和7年保険業法改正に係る内閣府令(案)等に対するパブリックコメントの実施についてが公表されました

1月6日、日経新聞にブローカーの日本参入についての記事が載りました。
世界保険ブローカーBIG4の英エーオン、日本参入へ 規制緩和受け
世界の保険ブローカーBIG4の一角、英保険仲立ち人(ブローカー)大手のエーオンが1月上旬にも日本に参入する。巨大な保険が必要な大企業向けに国内外の保険を仲介する。保険代理店との協業の解禁など金融庁が規制緩和の方針を示したことを受け、保険ブローカーとしても事業展開する。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB050D30V00C26A1000000/
今回は、この規制緩和の方針とされた部分、保険仲立人と代理店の協業に向けた部分を見ます。
念頭に置くべきなのは、今回は「ほかの募集人等との関係について」の改正であることです。
保険仲立人と顧客との関係については、すでに前回8月28日から適用されている監督指針の方に定めがあります(解説はこちら)
監督指針改正案
Ⅴ-4-1 他の保険募集人との関係
(1) 保険募集の委託
① 保険仲立人又はその保険募集を行う役員若しくは使用人が、保険会社及び少額短期保険業者(以下、Ⅴ-4、-5 において「保険会社等」という。)、保険会社等を代表する役員、保険募集人、金融サービス仲介業者及び他の保険仲立人に対して保険募集を委託し(注)、又は保険契約の締結の媒介に関する手数料、報酬その他の対価(以下、「手数料等」という。)の支払いを行っていないか。)
(注) 例えば保険募集に該当しない事務手続等は除くものとする(以下、Ⅴ-4-1において同じ。)。
② 保険募集人が、保険仲立人又はその保険募集を行う役員若しくは使用人、金融サービス仲介業者又はその保険契約の締結の媒介を行う役員若しくは使用人に対して保険募集を委託し、又は保険募集に関する手数料等の支払いを行っていないか。
③ 保険会社等又は保険会社等を代表する役員が、保険仲立人又はその保険募集を行う役員若しくは使用人、金融サービス仲介業者(保険会社等からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)又はその保険契約の締結の媒介を行う役員若しくは使用人に対して保険募集を委託していないか。
(2) 共同の行為
① 保険仲立人又はその保険募集を行う役員若しくは使用人(以下、Ⅴ-4-1(2)において「保険仲立人等」という。)が、保険会社等又は保険募集人(以下、Ⅴ-4-1(2)において「保険募集人等」という。)と、同一契約の共同取扱いを行う場合には、保険仲立人等は、顧客の誤認防止の観点から、保険媒介業務を行う前に、顧客に対して、次に掲げる事項について説明の上、同意を取得しているか。
ア. 保険仲立人等と保険募集人等における立場の違い
イ. 保険募集人等との間で合意した業務分担の内容(想定される業務量や業務分担割合も含む)
② 保険募集人等が、保険仲立人等と同一契約の共同取扱いを行う場合には、保険募集人等は、事前に、保険会社等に対して、保険仲立人等との間で合意した業務分担の内容(想定される業務量や業務分担割合も含む)を説明の上、同意を取得しているか。
(注) 上記①及び②において、保険仲立人等又は保険募集人等が、顧客又は保険会社等から同意を取得するに際しては、顧客又は保険会社等が、業務分担の内容を確実に認識できるよう、文書等で同意を取得する措置を適切に講じることに留意する。
③ 保険仲立人等が、金融サービス仲介業者(顧客からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)と、同一契約の共同取扱いを行っていないか。
④ 保険仲立人等が、原則として、保険募集人等又は金融サービス仲介業者(顧客からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)に保険募集事務の一部の引継ぎ又は代行をさせていないか。
⑤ 保険募集人等が、金融サービス仲介業者(保険会社等からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)と、同一契約の共同取扱いを行っていないか。
⑥ 保険募集人等が、原則として、保険仲立人等又は金融サービス仲介業者(保険会社等からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)に保険募集事務の一部の引継ぎ又は代行をさせていないか。
これまで、共同の行為において、「(2) 共同の行為 ① 保険仲立人又はその保険募集を行う役員若しくは使用人が、保険会社等、保険募集人又は金融サービス仲介業者(顧客からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)と、同一契約の共同取扱いを行っていないか。 」とされていたものが、今回の監督指針改正案では、「同一契約の共同取扱いを行う場合には、保険仲立人等は、顧客の誤認防止の観点から、保険媒介業務を行う前に、顧客に対して、次に掲げる事項について説明の上、同意を取得しているか。」として、顧客が誤認しないように説明し、同意を取得すること同一契約の共同取扱いが可能となりました。
また、本項は保険仲立人の項目ですが、共同の行為をする保険募集人等として注意すべき事項があり、「② 保険募集人等が、保険仲立人等と同一契約の共同取扱いを行う場合には、保険募集人等は、事前に、保険会社等に対して、保険仲立人等との間で合意した業務分担の内容(想定される業務量や業務分担割合も含む)を説明の上、同意を取得しているか。」とされました。
そして注記において、業務分担内容を書面して同意を取得することが求められています。
これまでグループ内の代理店(企業内代理店)が担ってきた企業向け保険の調達について、ブローカーと企業内代理店との協業が進むことが予想されます。
なお、別途保険仲立人については、以下の海外直接付保に関する改正もされています。
保険仲立人のサポートで海外直接付保ができるようになることで、企業はより保険を調達する選択肢が広がることになります。
これらを合わせて、保険仲立人の活用という市場の健全化に向けた改正ということかと思われます。
(5)保険仲立人の活用促進に向けた対応等
・海外直接付保に関する手続き及び海外直接付保の許可に係る保険媒介における保険仲立人の活用
・保険仲立人の不祥事件の届出義務の新設に伴う届出事項等の整備
海外直接付保については、保険業法第186条第3項各号に該当しない理由(許可をしてはいけない場合に該当しない理由)の意見について、保険仲立人が保険契約申し込みの許可の申請書に意見書を添付することができるようになりました。
保険業法施行規則改正案
(保険契約の申込みの許可の申請)
第百十七条
[略]
2 [略]
3 第一項の許可申請書には、別紙様式第十号の二により作成した保険仲立人意見書を添付することができる。
不祥事件については、以下の条文が追加されます。
保険業法施行規則改正案
(変更等の届出)
第二百二十条
法第二百九十条第一項の規定による届出をしようとする者は、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める届出書を金融庁長官に提出しなければならない
[一・二 略]
三 当該届出が第三項に規定する不祥事件に係るものである場合 当該不祥事件の概要その他の事項を記載した届出書
2 [略]
3 法第二百九十条第一項第八号に規定する内閣府令で定めるときは、不祥事件が発生したことを知ったときとし、同号に規定する内閣府令で定める者は、当該保険仲立人とする。
4 前項に規定する不祥事件とは、保険仲立人である個人又は保険仲立人である法人の役員若しくは使用人が次の各号のいずれかに該当する行為を行ったことをいう。
一 保険仲立人の業務を遂行するに際しての詐欺、横領、背任その他の犯罪行為
二 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律に違反する行為
三 法第二百九十四条第一項、第二百九十四条の二若しくは第三百条第一項の規定、法第三百条の二において準用する金融商品取引法第三十八条第三号から第六号まで若しくは第九号若しくは第三十九条第一項の規定若しくは第二百三十四条の二十一の二第一項の規定に違反する行為又は法第三百七条第一項第三号に該当する行為
四 現金、手形、小切手又は有価証券その他有価物の紛失のうち、保険仲立人の業務の特性、規模その他の事情を勘案し、当該業務の管理上重大な紛失と認められるもの
五 海外で発生した前各号に掲げる行為又はこれに準ずるもので、発生地の監督当局に報告したもの
六 その他保険仲立人の業務の健全かつ適切な運営に支障を来す行為又はそのおそれのある行為であって前各号に掲げる行為に準ずるものhttps://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20251217/01.pdf
監督指針改正案では以下のとおりです(先ほどの協業に関するものとリンク先が異なるので注意が必要です)。
Ⅴ-7 不祥事件等に対する監督上の対応
不祥事件等に対する監督上の対応については、以下のとおり取り扱うこととする。
(1) 不祥事件等の発覚の第一報
保険仲立人として登録されている者又はそれらの役員若しくは使用人(以下、Ⅴ-7において「保険仲立人」という。)において不祥事件等が発覚し、第一報があった場合は、以下の点を確認することとする。 なお、保険仲立人から第一報がなく、不祥事件等届出書の提出があった場合にも、同様の取扱いとする。
① 本部等の事務部門、内部監査部門への迅速な報告及び社内規則等に基づく取締役会等への報告を行っているか。
② 刑罰法令に抵触している恐れのある事実については、警察等関係機関等へ通報しているか。
③ 事件とは独立した部署(内部監査部門等)での事件の調査・解明を実施しているか。
(2) 不祥事件等届出書の受理
① 保険仲立人が、規則第220条第4項各号のいずれかに該当する行為を行った場合は、当該保険仲立人から当該保険仲立人の主たる事務所の所在地を管轄する財務局長等宛の不祥事件等届出書を当該財務局等が受理することとする。 なお、当該不祥事件等届出書を受理した財務局等においては、当該不祥事件等届出書の内容及び受理件数について1ヵ月分を取りまとめの上、翌月10日までに保険課宛て報告することとする。ただし、財務局等において緊急性が認められると判断するときは、随時、保険課宛て報告することとする。
② 不祥事件等届出書の受理にあたっての確認事項は、以下のとおりとする。
ア. 規則220条第1項第3号の規定に基づく不祥事件届出書については、保険仲立人が不祥事件の発生を知った日から30日以内に提出するものとするが、当該不祥事件等届出書の受理時においては、法令の規定に基づき届出が適切に行われているかを確認することとする。
イ. 保険契約者等の判断に重要な影響を与えるような場合であるにもかかわらず、保険仲立人が公表していない場合には、公表の検討が適切に行われているかを確認することとする。
(3) 業務の適切性の検証 不祥事件と業務の適切性の関係については、以下の着眼点に基づき検証することとし、また、Ⅲ-4-1なお書き①②の要因も踏まえたものとする。 なお、検証にあたっては、保険仲立人の規模や業務の特性、不祥事件の内容等を踏まえるものとする。
① 法人である保険仲立人の不祥事件等届出書の場合
ア. 当該事件に役員は関与していないか、組織的な関与は認められないか。また、経営者の責任の明確化が図られているか。
イ. 事実関係の真相究明、同様の問題が他の事務所等で生じていないかの確認・検証及び監督者を含めた責任の追及が厳正に行われているか。
ウ. 事実関係を踏まえた原因分析により、実効性のある再発防止への取組みが適時適切に行われているか。特に、発生原因が保険仲立人固有の問題である場合は、保険仲立人自身において上記取組みが適時適切に行われているか。
エ. 内部牽制機能が適切に発揮されているか。
オ. 役員及び使用人に対する教育・管理・指導は十分か。
カ. 当該事件の発覚後の対応が適切か。特に、同様又は類似の発生原因により当該保険仲立人の取り扱う他の保険契約等に被害が生じている可能性を踏まえた伏在調査が適切に行われているか。また、必要に応じて関係先への情報共有が適時・適切になされているか。
② 個人である保険仲立人の不祥事件等届出書の場合
ア. 事実関係の真相究明、同様の問題が生じていないかの確認・検証及び監督者を含めた責任の追及が厳正に行われているか。
イ. 事実関係を踏まえた原因分析により、実効性のある再発防止への取組みが適時適切に行われているか。
ウ. 使用人を雇用している場合には、使用人に対する教育・管理・指導は十分か。
エ. 当該事件の発覚後の対応が適切か。特に、同様又は類似の発生原因により当該保険仲立人の取り扱う他の保険契約等に被害が生じている可能性を踏まえた伏在調査が適切に行われているか。また、必要に応じて関係先への情報共有が適時・適切になされているか。
(4) 監督上の措置 不祥事件等届出書の提出があった場合には、以下の措置を講じることとする。
① 財務局等においては、事実関係、発生原因分析、改善・対応策等について、規則第220条第4項各号のいずれかに該当する行為を行った保険仲立人に対してヒアリングを実施する。 また、当該保険仲立人における同様の事案の発生状況等ヒアリングの結果も踏まえ、必要に応じて、当該保険仲立人に対して法第305条に基づき報告を求め、さらに、重大な問題があると認められる場合には、法第306条又は第307条に基づき行政処分を行うこととする。 なお、財務局等においては、適宜、金融庁との密接な連携に努めるものとする。
② 財務局等においては、規則第220条第4項各号のいずれかに該当する行為を行った保険仲立人の業務を行う区域が、他の財務局等の管轄区域に及び、当該他の財務局等の管轄区域内での被害等が想定される等、必要性が認められる場合には、当該他の財務局等に情報提供する等、密接な連携に努めるものとする。また、連携を行った場合には、保険課に対して報告を行うこととする。
③ 金融庁においては、規則第220条第4項各号に規定される行為の発生状況等を分析し、同様の事案が全国的に多発している傾向が見られる等、必要性が認められる場合には、財務局等に対して情報提供することとする。
(5) 標準処理期間
不祥事件等届出書に係る法第305条に基づく報告徴求や法第306条又は第307条に基づく行政処分を行う場合は、当該不祥事件等届出書(第305条に基づく報告徴求を行った場合は、当該報告書)の受理の日から原則として概ね 1 ヵ月(財務局等が金融庁への連携や保険仲立人に対して直接ヒアリングを行う場合は概ね 2 ヵ月)以内を目途に行うこととする。
執筆者プロフィール

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株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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