コラム
【速報⑥】((その他の体制整備強化事項・特に不祥事件に関する部分)特定大規模乗合保険募集人に対する体制整備義務の強化)令和7年保険業法改正に係る内閣府令(案)等に対するパブリックコメントの実施についてが公表されました

特定大規模乗合保険募集人には、【速報④】保険募集管理態勢、【速報⑤】兼業業務に対する態勢整備のほかに、その他の業務運営に関する事項があります。
(その他特定大規模乗合損害保険代理店の業務運営に関する措置)
第二百二十七条の二十一
法第二百九十四条の四第五号に規定する内閣府令で定める措置は、次に掲げる措置とする。
一 保険募集の公正を確保するため、保険募集に係る保険契約の引受けを行う保険会社の商号又は名称の明示、保険契約の締結に当たり顧客が自主的な判断を行うために必要と認められる情報の提供その他の事項に関する指針を定め、公表し、その実施のために必要な措置を講ずること。
二 保険募集の業務に係る内部監査を定期的に行うための責任者の設置、社内規則等(社内規則その他これに準ずるものをいう。次号及び第六号において同じ。)の整備その他の体制の整備
三 特定大規模乗合損害保険代理店の役員又は使用人による保険募集の業務に係る通報及び相談に応じ、適切に対応するための責任者の設置、社内規則等の整備その他の体制の整備
四 特定大規模乗合損害保険代理店は、所属保険会社等が当該特定大規模乗合損害保険代理店に委託する業務において発生した不祥事件(第八十五条第八項、第百六十六条第四項及び第二百十一条の五十五第四項に規定する不祥事件をいい、特定大規模乗合損害保険代理店に該当することとなった日以後に発生したものに限る。以下この号において同じ。)について、当該所属保険会社等が第八十五条第一項第二十五号、第百六十六条第一項第七号又は第二百十一条の五十五第一項第十四号の規定による不祥事件の届出を行ったことを知ったときは、遅滞なく、当該所属保険会社等を除く当該特定大規模乗合損害保険代理店の所属保険会社等(以下この号において「非届出所属保険会社等」という。)の全てに対して、当該不祥事件の概要を通知するとともに、当該非届出所属保険会社等が当該特定大規模乗合損害保険代理店に委託する業務において、当該不祥事件を惹起した者が当該不祥事件と類似の不祥事件を惹起した疑いがあると思料するときは、当該非届出所属保険会社等に対し、遅滞なく、当該不祥事件を惹起した者の氏名及び役職名その他参考となるべき事項を通知すること
五 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める者に対し、遅滞なく、特定大規模乗合損害保険代理店である旨を通知すること。
イ 新たに特定大規模乗合損害保険代理店に該当することとなったとき 当該特定大規模乗合損害保険代理店の全ての所属保険会社等
ロ 特定大規模乗合損害保険代理店が新たに所属保険会社等を有することとなったとき 当該所属保険会社等
六 兼業特定保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店にあっては、次に掲げる措置
イ 保険募集の業務以外の業務に係る内部監査を定期的に行うための責任者の設置、社内規則等の整備その他の体制の整備
ロ 特定大規模乗合損害保険代理店の役員又は使用人による保険募集の業務以外の業務に係る通報及び相談に応じ、適切に対応するための責任者の設置、社内規則等の整備その他の体制の整備
2 前項の規定にかかわらず、同項各号(第四号及び第五号を除く。)に掲げる措置にあっては、新たに特定大規模乗合損害保険代理店に該当することとなった日から起算して六月間は、当該措置を講じなくてもよい。
重要なのは不祥事件に関する規則第227条の21第1項第4号の部分です。
特定大規模乗合損害保険代理店における不祥事件の届出について定められています。
特定大規模乗合損害保険代理店は、当該不祥事件についてその業務を委託した当該所属保険会社が不祥事件届出をしたことを知ったとき、ほかの乗合保険会社についても当該不祥事件を惹起した者が当該不祥事件と類似の不祥事件を惹起した疑いがあると思料するときは、当該非届出所属保険会社等に対し、遅滞なく、当該不祥事件を惹起した者の氏名及び役職名その他参考となるべき事項を通知するとされました。
生保の体制整備ガイドラインにおいて、これまでも以下のとおり乗合代理店はほかの所属保険会社に連絡をすることとされていました。
参考
保険代理店は、その役員または使用人が不適切な事故を惹起した場合、事実関係の真相究明、同様の問題が他の事務所等で生じていないかを確認するとともに、その原因分析等により、実効性のある再発防止への取組みを行う必要がある。 加えて、乗合代理店において一部の所属保険会社に関する不適切な事故が発生した場合、他の所属保険会社等の保険募集において同様の事故が発生していないかを確認し、発生している場合には、直ちに関連する所属保険会社等に連絡する必要がある。 保険会社においては、保険代理店に対して、不祥事件に係る適切な体制整備を指導するとともに、監査等を通じて、その実態を把握し、適切な管理体制が構築されているか確認する必要がある。
保険募集人の体制整備に関するガイドライン 令和7年9月16日 25phttps://www.seiho.or.jp/activity/guideline/pdf/taiseiseibi.pdf
今回は特定大規模乗合損害保険代理店においても、具体的に通知すべき事項が「当該不祥事件を惹起した者の氏名及び役職名」を含むものであることが明確化されました。なお、保険会社が「不祥事件の届出を行ったことを知ったとき」とされていますから、不祥事件の届出は速報、確報、続報などというように継続的になされるものでもあるので、初回の届出を知ったとき(確報まで待つようなものではない)と思われますが、この点についてもパブリックコメントで明らかにされてくると思われます。
そして、監督指針案では、不祥事件の部分について以下のとおり定めています。
Ⅱ-4-2-15-4 特定大規模乗合保険募集人が講ずべきその他の態勢整備等
(5) 不祥事件の概要等の通知
特定大規模乗合保険募集人は、規則第215条の4第1項第7号又は規則第227条の21第1項第4号に基づき、所属保険会社等が特定大規模乗合保険募集人に委託する業務において発生した不祥事件について、当該所属保険会社等が不祥事件の届出を行ったことを知ったときは、必要に応じて当該所属保険会社等の協力を得つつ、自らの責任において不祥事件の概要を作成し、遅滞なく、不祥事件の届出を行った所属保険会社以外の所属保険会社等(以下「非届出所属保険会社等」という。)の全てに対して通知するとともに、非届出所属保険会社等による照会や調査に適切かつ十分に協力しているか。
さらに、非届出所属保険会社等が当該特定大規模乗合保険募集人に委託する業務において、不祥事件を惹起した者が当該不祥事件と類似の不祥事件を惹起した疑いが認められる場合(注)には、当該非届出所属保険会社等に対し、遅滞なく、上記の概要と併せて不祥事件を惹起した者の氏名及び役職名その他参考となるべき事項を通知するとともに、非届出所属保険会社等による照会や調査に適切かつ十分に協力しているか。
(注) 類似の不祥事件を惹起した疑いの有無については、所属保険会社等の協力も得つつ、組織として適切に検討を実施すること。
なお、上記の「不祥事件を惹起した者の氏名及び役職名その他参考となるべき事項」に係る個人情報等としては、不祥事件を惹起した者に係る個人情報に限定される(注)ことを踏まえ、通知の内容に当該不祥事件を惹起した者以外の個人情報等が含まれていないか、通知の送付先に誤りがないか等を複数名で確認するなどにより、個人情報等の漏えい等の個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)への違反又は抵触が生じないよう、十分に留意する。
(注) 例えば、当該不祥事件の被害者や当該不祥事件を惹起した者の関係者等の氏名等は含まれない。なお、上記の記載はあくまでも個人情報の保護に関する法律にいう「法令に基づく場合」として、規則第215条の4第1項第7号又は規則第227条の21第1項第4号に基づき非届出所属保険会社等への共有が認められる場合を示すものであり、その他の根拠法令に基づき非届出所属保険会社等への共有が認められる場合があることを踏まえ、適法かつ必要な範囲での情報共有が図られるよう、併せて留意する。
また、上記の通知に係る期間・頻度に関しては、例えば、金銭の費消・流用事案(その疑いのある事案を含む)等、顧客の財産に被害が生じ得る事案や犯罪行為のおそれがある事案等、不祥事件の内容や性質によっては被害の拡大防止の観点から非届出所属保険会社等による迅速な伏在調査の実施が必要となる場合もあることから、事案の内容に応じて可能な限り迅速かつ適切な頻度で行うよう努めることとする。https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20251217-2/01.pdf
特に注記部分が重要です。
- 類似の不祥事件を惹起した疑いの有無については、所属保険会社等の協力も得つつ、組織として適切に検討を実施すること。
- 通知事項に当該不祥事件の被害者や当該不祥事件を惹起した者の関係者等の氏名等は含まれない。
執筆者プロフィール

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株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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