コラム

2025年10月1日
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令和7年保険業法改正に係る政令(案)に対するパブリックコメントの実施について を読む

令和7年9月30日、金融庁より、「令和7年保険業法改正に係る政令(案)に対するパブリックコメントの実施について」が公表されました。これは以下の2点について政令を改正するものです。

  1. 改正法において措置された特定大規模乗合損害保険代理店の業務運営に関する体制整備義務と同様の体制整備義務を、大規模な乗合代理店である生命保険募集人に対して措置
  2. 保険仲立人の活用促進に向けた対応として、保険仲立人の保証金の最低金額等を引下げhttps://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20250930/20250930.html

1 大規模な乗合代理店である生命保険募集人に対する体制整備義務の強化 

これは改正保険業法により特定大規模乗合損害保険代理店の業務運営に関する体制整備義務と同様の体制整備義務を大規模な乗合代理店である生命保険募集人に対して措置するものです。

生命保険募集人(第2条第 19 項)については、所属保険会社等を原則として一社とする、いわゆる一社専属制が原則であり(第 282 条第2項)、「保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものとして政令で定める場合」にのみ、乗合ができることとされている(同条第3項)ため、保険業法ではなく、同項の委任を受けた保険業法施行令第 40 条において、大規模な乗合生命保険募集人に対して、同様の義務を課すこととされました。

同日に公表された「規制の事前評価書 」によれば、対象は500社からさらに絞り込んだ数になる見込みとされています。

https://www.fsa.go.jp/seisaku/r7ria/20250930_01.pdf

2 保険仲立人の保証金の最低金額等の引下げ(2000万円から1000万円に引き下げ)

これは保険業に対する信頼性の確保及びその健全な発展を図るため、保険仲立人の活用促進に向けた対応として、保険仲立人の保証金の最低金額等の引下げを行うものです。

企業向け保険市場等における健全な競争環境を実現する観点から、保険仲立人の活用を促進し、販売チャネルをより多様化させ、販売面での競争をより促すため、保険仲立人が参入しやすくするものです。

すでに監督指針で、「顧客から手数料を受領すること」も可能となっていますし、保険仲立人のビジネスの幅が広がっていく準備が進められていることが見て取れます。

執筆者プロフィール

中村 譲

中村 譲
株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長

2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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