コラム
代理店業務品質評議会(第2回) 配付資料 を見る

9月19日に開催された第2回「代理店業務品質評議会」では、4つの資料が配布され、公表されました。
今回はそれぞれの資料を手がかりに、議論の方向性を整理してみたいと思います。
1 資料1 フォローアップ点検 ― 本格運用に向けた取組み状況
(https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003uts-att/trial_2.pdf)
もっともボリュームがあったのがこの資料です。
自己点検チェックシートを出発点に、損保会社と代理店の対話を確認し、リスクベースで代理店を抽出し損保協会がモニタリングを実施。そのうえで、第三者評議会がフォローアップを行う仕組みです。
そして、2025年度のトライアル運用においては、業務品質評価運営の有効性を検証する観点から、①顧客対応(比較推奨販売、不適切な便宜供与の禁止、利益相反管理)、②アフターフォロー(苦情の対応・管理)、③個人情報保護(個人情報管理、個人情報保護に係るシステム面の整備)を確認することとされました。
評価本部による点検は、具体的には、①評価指針に定める業務品質基準に照らし、当該代理店の内部管理態勢に関する課題がないか中立的な第三者として確認するとともに、②必要に応じて業務品質の確保・向上に資する提案・助言を行うものとされました。
そのうえで、確認表、点検結果は金融庁にも連携されることとされます。
2 資料2 損保会社の取組み準備状況について
(https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003uts-att/torikumi.pdf)
ここでは、代理店側から寄せられた声が率直に紹介されています。
「担当者の制度理解不足」「チェックシート説明の不十分さ」「回答が委託契約解除に使われる懸念」など、制度を支えるべき損保会社の準備不足が指摘されています。評議会は、こうした声を正面から受け止め、損保会社の研修強化や説明責任をどう果たすかを議論しています。
3 資料3 代理店業務品質に関する評価指針- 様式・参考資料編の整備 -
(https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003uts-att/youryou.pdf)
12月を目途に「フォローアップ点検実施要領」「異議申立て要領」「通報窓口運営要領」「服務規程」などを整備する予定とのことであり、これにより、代理店が「どう対応すればよいのか」が明文化され、とくに評価結果に対する異議申し立て手続きは、この制度が保険代理店にとっても公正な評価機関となるために重要なものと考えます。
この後第2回の議事概要が公表されると思われます。
保険代理店は、単に制度ができたから「対応するだけ」ではなく、「制度を一緒に作っていく」という心持で準備する必要があり、法改正とともに今後の議論の状況も追っていくことが求められます。
執筆者プロフィール

- 株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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