コラム
【開催報告】保険業法改正とそのインパクトを語る【弁護士座談会 第2回】

1. 開催概要
本座談会は、改正保険業法および監督指針改正案の実務的な影響を議論する場として開催しました。
登壇者には、以下の保険業界を代表する弁護士陣をお招きし、改正法や監督指針改正案をどのように現場で解釈し、体制を整備、運用していくべきかについて活発な議論が交わされました 。
- 中原 健夫弁護士(ほくと総合法律事務所)
- 吉田 桂公弁護士(のぞみ総合法律事務所)
- 篠原 孝典弁護士(森・濱田松本法律事務所)
- 津江 紘輝弁護士(アンダーソン・毛利友常法律事務所)
2.当日のスケジュール
本座談会は、改正保険業法・監督指針改正案の解説(認識合わせ)ののち、ディスカッション、会場からの質疑応答という形で、来場者の関心度が高いトピックに絞った内容です。
ディスカッションでは、特に次の3つのテーマを取り上げました。
- 比較推奨販売における「ハ方式」の廃止
- 「過度な便宜供与」の禁止
- 代理店手数料ポイントの見直し
特に「ハ方式」の廃止では、意向把握義務との関係を精緻に検討し、顧客の最善の利益とは何かを追求しつつ、実務上の運用とバランスがとれた運用について非常に示唆に富む議論が展開されました。
質疑応答では匿名ということもあり、ニーズ喚起が誘導にならないための工夫など、多くの実務的な質問が寄せられました。
3. 来場者からの感想
- よく保険業を理解されている弁護士と話せて非常に勉強になった。これまで質問してきた人たちはわからない。まだ情報ない。という回答だけであったが今回の弁護士の方々は、現状明らかになっていることを整理しつつ、見解を伝えてくれた。また次回があれば参加したい。
- 大変充実した内容で、理解が進みました。参加の皆様から寄せられた質問も関心のあるものばかりで後日ご回答いただけるとのこと、有難く存じます。
- 誘導と喚起の捉え方や、業務品質の基準が業界に与える影響などを、士業の方の目線での考え方を伺えたのは非常に有意義でした。
- 比較推奨の部分は特に実務に関わる部分でしたので興味深くお聞きしました。時間が足りないくらいでした。ありがとうございました。
- QAやディスカッションがメインであり、自社だけでは見えない質疑も聞くことができ、非常に有意義でした。
4. 今後の展開
次回は来年1月末頃に、出ているであろうパブリックコメントや監督指針を踏まえて第3回を開催したいと思っております。
監督指針改正はあと2回予定されており、比較推奨販売の在るべき形、特別利益の提供の禁止や企業内代理店の取り組みなどが注目すべき論点として残されています 。
これらの論点を中心に議論を深め、参加者の皆さまと共に「これからのあるべき保険業界の姿」を具体的に描いていきます。
執筆者プロフィール

- 株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
関連記事
- 2025年8月18日令和7年6月分「業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点」を読む
- 2025年8月1日参議院常任委員会調査室・特別調査室「令和7年保険業法改正の国会論議」を読む
- 2025年8月1日登壇レポート:保険業法改正と業務負荷をチャンスに変える経営戦略@大阪
- 2025年7月29日代理店業務品質評議会(第1回)議事概要を読む
執筆者監修のお役立ち資料
・2025年監督指針徹底解説 保険代理店の今からできる対応事項book
・金融庁出向経験弁護士が答える 「保険業法改正Q&A一問一答」
・【ハ方式→ロ方式】意向把握 完全移行マニュアル
・弁護士監修 乗合代理店の為の保険業法改正対応の手引き
hokan®︎の資料はこちら!