コラム
代理店業務品質評価に関する第三者検討会の議論を追う④

先日、意見公募が締め切られた損保協会の代理店業務品質評議会。現在、第5回までその検討過程が公開されています。第5回では、自己点検チェックの進め方、通報窓口についての資料が中心となっています。
https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003trt-att/20250130_shiryo_1.pdf
ポイントとなるのは「対話」であり、単に保険会社から代理店に対して指導して終わるものではなく、コミュニケーションを継続して行っていくこと、深い理解と「気付き」が重要であるという観点も示されています。
https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003trt-att/20250130_shiryo_1.pdf
この自己点検チェックの仕組みはトライアル運用が予定されており、2025年夏には新形式の自己点検チェックシート(案)が公表され、2026年度からの本格運用が開始されることが議論されています。
https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003trt-att/20250130_shiryo_1_betsu1.pdf
現時点では上図のような自己点検チェックシート案が公表されています。重要なのは、日常業務における取り組み内容が記述式になっていることです。
https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003trt-att/20250130_shiryo_1_betsu1.pdf
特に、「便宜供与」と特別利益の提供に関しては、日常業務の取り組みが回答必須となっており、重点的なフォロー対象になっていくことがここから推察されます。今回の保険業法改正でもこの論点が特に重要になります。
https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003trt-att/20250130_shiryo_2.pdf
通報窓口についても、運用フローが整理されました。匿名での通報も受け付けるものとなり、多くの情報提供が期待されます。
https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003trt-att/20250130_shiryo_2.pdf
通報の対象については非常に幅広く設定されています。法令違反に限られず、「不適切事例」とされ、さらにその「疑義事例」まで対象となります。これまでの商慣行から、本当は不適切だったのではないか、という疑いがもたれてきた場合の活用が期待されていると解されます。
執筆者プロフィール

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株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長
2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、法務責任者として株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。
これまでに「金融機関の法務対策6000講(共著)」「ペット保険の法的課題(慶應大学保険学会)」『「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情2024.9.17)』を執筆し、日経新聞(2024.9.4朝刊金融経済面)にもコメントが掲載される。
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