コラム

2022年10月21日
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愚直な努力の積み重ねで6年連続達成。「普通の人」がMDRT会員になるまで

愚直な努力の積み重ねで6年連続達成。「普通の人」がMDRT会員になるまで

保険募集人ならば、誰もが加入することを目指すと言われているMDRT

他業界から保険募集人の世界に飛び込み、現在まで6年連続でMDRT達成をし続けているのが、手塚 亜図夢氏です。

自らを「普通の人」と言い切る手塚氏が実践している営業手法について話を聞きました。

憧れの先輩に誘われて保険業界へ

私は現在、株式会社バリュー・エージェントに所属し、保険募集人として業務に携わっています。私自身が主に扱っているのは生命保険。対象は個人のお客様で、2030代の女性が7割くらいでしょうか。

私のキャリアは、新車の営業からはじまりました。大学卒業後に入社したのは国産車のディーラー。最初の業務として取り組んだのは、配属された店舗の先輩方から渡された150人ほどの既存顧客のフォローです。車検のタイミングで新車の購入を勧めたり、自動車保険の手続きをしたりしていました。

元々は同じディーラーで勤務し、私がディーラーに入社した時には外資系生命保険会社に所属していた先輩がいました。その先輩は、営業成績が良いだけではなく、とにかく人間として格好良く、私はとても尊敬していたのです。いつか一緒に仕事をしたいと思っていました。新卒から2年半ほどした頃、その先輩が外資系生命保険会社から代理店に移籍する事となり、「一緒にやらないか」と声をかけてもらい、即、転職を決めました。その時の喜びは今でも鮮明に覚えています。

即答はしたものの、フルコミッションの世界に身を投じることに不安もありました。しかし、先輩から「失敗はさせないから大丈夫」という言葉をかけてもらったことが心強く、背中を押してくれました。

こうして、20157月から私の保険募集人としてのキャリアがスタートしました。とはいえ、生命保険に関しては、完全に未経験。入社後1カ月間は研修として保険の基礎を学びました。周囲の優秀なメンバーの助けもあって、どんどん知識を吸収し、保険募集人としての価値観を形成していきました。研修終了時には「やるしかない」という前向きな気持ちが全身にみなぎっていたことを覚えています。

ゴールは「契約」ではなく、次のお客様を「紹介」いただくこと

研修期間が終わり、最初に行ったのは、自分の友人に連絡すること。当時は、「保険の素晴らしさは絶対に伝えた方がいい」という気持ちでした。

私は最初から電話で「久しぶり!保険代理店で働き始めたから保険の話を聞いてくれない?聞いて損はさせないよ。」と話をしてアポを取るようにしていました。一方で、「久しぶりに食事に行こう」と誘い、実際には保険の話をする方もいると聞きますが、これまでの経験上、失敗する確率が高いと思いますし、はじめから目的を伝えた上でアポを取るほうが良いと思います。

今振り返ると、こういったスタンスや、お客様との向き合い方を最初に教えてくれた会社・先輩方の教育方針は、非常にありがたいと思いますね。ハッキリ言って、この教育が無ければ今の私は絶対にありません。

また教育の方針として、「契約ではなく紹介がゴール」という教育を受けたこともプラスになりました。保険業界ではお客様から次のお客様を紹介してもらうことが非常に重要です。一人目のお客様の満足度が低い状態であれば、紹介してくれることはあり得ません。そのためお客様と「はじめまして」の瞬間から紹介につながる行動をとるように心がけていました。

当時、紹介をいただけたのは、心の底から保険の素晴らしさを信じていたからだと思います。もちろん今も同じ気持ちを持ち続けているのですが、当時は今よりもっとピュアでした。おもしろい映画やマンガを見た翌日に、それを友達に教えたくなるような気持ちといえば想像しやすいでしょうか。そんなマインドでお客様にご提案していました。

壁に当たった時は基本に立ち返る

お客様に保険の素晴らしさをお伝えしたいという純粋な気持ちで走り続けてきたのですが、募集人になって1年半ぐらいで、風向きが変わりました。ついに「あ、これはマズいぞ」という時が訪れたのです。

募集人は3年で約9割が辞めると言われる業界です。多くの募集人はそうやって紹介が途切れた状態から前向きになれなくなって退場していきます。

苦しい状況でしたが、ひたすら「どうするべきか」を考えていました。そして考えた結果、まず「研修で教わったトークができているのか」を見直すことにしたのです。

研修で教わったトークをそのまま話すことが正解かどうかは、人によって違うと思います。しかし、私の場合は、自分を保険業界に誘ってくれた先輩に憧れてこの業界に入りました。その先輩の言葉遣いやトーンはもちろん、ワイシャツやカバンといった身につけるものまでも真似していましたし、移動の車の中でも先輩のロープレを繰り返し聞いていました。

それほど完全に先輩の立ち振る舞いや話す言葉をコピーしていたつもりでしたが、1年半の間に徐々に「自分流」になっているのではないか、と考えたのです。

そうやって自分自身のトークを見直すことで新たな気づきもありましたし、また紹介をもらえるタイミングが来た時に、上手く波に乗っていける状態まで戻ることができました。

また、同じ支店の仲間は、誰かが困っていたらみんなでサポートしようという雰囲気が醸成されています。困難な時期でもネガティブにならなかったのは、そうした仲間のサポートに助けられた部分も大きかったと思います。

「週8」で働いて年間表彰を最年少で獲得

入社した当時、某保険会社の年間表彰を25歳で受賞すれば史上最年少だという話を聞いたため、私がMDRTより先に意識したのは、この年間表彰でした。しかし、対象となる期間は4月から翌年3月まで。私が入社した7月から目指すのは、今考えるとなかなか難しいことだと思います。「難しいこと」というのが分からなかったからこそ、目指すことができたと思います。

しかし、がむしゃらに取り組んだ結果、その年の12月頃に最年少での年間表彰を獲得することができました。今、そんな人がいると聞いたら、「その人すごいな」と率直に思いますし、今、それを目指せと言われたら「絶対無理だ」と目標にできません。

それなのに、なぜ、当時その記録を打ち出すことができたか──

これは半ば冗談、半ば本気ですが、当時は「週8」で働いていました。その期間は、100%仕事にコミットして、寝ている間も夢の中で商談していましたし、起きている間は、ずっと商談のことを考え続けていました。

今同じことをしたら体力的に持たないかもしれません。ですが、当時は本当に夢中で、体中の細胞が「最年少記録を獲得する」ということだけを考え続けている状態でした。

こうして2015年中に最初の目標を達成できたので、次のステップとして「MDRTを目指す」と周囲に宣言しました。そして、2016年の活動が評価されて2017年会員からMDRTに加入し、2022年度会員の現在まで毎年更新を続けています。

とはいえ、世の中にはもっともっとすごい人が山ほどいます。私自身は、自分のやれることをしっかりやって、毎年ギリギリで連続入会を成し遂げているという状況です。

先程お伝えしたように、私たちは「紹介がゴール」だと考えていますし、紹介していただけたということは「お客様にとって価値のあることをお伝えできた」ということにもなります。そうやって紹介を一件ずつ積み上げていけば、必然的にMDRTにもなれるというシンプルな行動原理で動いています。

募集人の中には、「なかなか紹介していただけない」と悩んでいる人もいると思いますが、私が実践している方法は特別なことは何も無く、初回のご面談の時点から「保険に興味のある方がいらっしゃったら紹介してください。」と、お客様にお伝えしています。ご契約後、書類をファイルに入れてお渡しするタイミングなどでも、「誰かと保険の話をすることがあれば、私のことを思い出してくださいね。紹介をお願いします。」と、声をかけています。ただこれだけです。

そうすると、その時はご縁がなくても、契約後にフォローのご連絡をした際や、追加でご契約をいただくタイミングでご紹介をいただけるケースが多々あります。

シンプルなタスクをやり続けることが大切

MDRTになるために必要なのは当たり前ですが「数字」です。

私の営業スタイルは非常にシンプル。こうした数字をExcelにまとめて、1カ月経過した時点での数字から考え、翌月はどのくらいを目指すのかというように目標から逆算して行動するようにしているのです。

また、契約後のフォローがしやすいように、私は初回面談の際にアフターフォローをする旨をしっかりとお客様にお伝えしています。具体的には、例えば8月にご契約いただいたお客様であれば、翌年の7月に必ずご連絡を差し上げるのです。「保険の内容って忘れてしまいますよね?ですので、毎年、内容と目的の確認をしましょう。契約した月の前月に私からご連絡します」と初回面談でお約束するのです。

そうやってアフターフォローを約束すると、お客様が増えるにしたがってスケジュールがパンクしてしまうのではないか?と心配する方もいるのですが、そんなことはありません。なぜなら、ご連絡をしても全員に会えるわけではないからです。なかには、「今年は大丈夫です。来年お話させてください」という人もいますし、返信のない方もいます。ですので、私はお客様との約束を守るために必ず年に1回ご連絡はしていますが、そのお客様すべてと毎年お会いしているわけではありません。

繰り返しになりますが、「一人ひとりに連絡したらパンクしてしまう」という心配は無用です。実際、私のスケジュールはそれほど詰まっていませんし、2週間先は白紙です。連絡の内容も基本的には定型文です。ですので、お客様には最初から「『来月で契約から1年です。内容と目的の確認の時間を作りますので、いくつか候補日をください』という連絡を、定型文で送りますね」と伝えています。

また、年末調整時の、生命保険料控除の対応を受け付けるようにもしています。多くの方、特に初めて保険に加入した方は、会社から生命保険料控除の書類をもらっても、どこに何を書いたらいいのかわからないのではないでしょうか。非常に地道な作業ですが、ここから紹介をもらえることも多いのです。職場の同僚と保険の話になるきっかけになるわけですから。

「普通の人」がやるべきスタイルを愚直に実行

私の強みは、年に1回のアフターフォローの連絡を漏らさずに確実にやる、そうした行動をすべて目標から逆算しているというところだと思います。

私は「普通の人」であり、その普通の人がやれる範囲で「やるべきだな」と思ったことを辛抱強くやっているだけなのです。私と同じようなスタイルの営業は誰にでもできます。

確かに、細かいことをやっていると思います。しかし、そうした泥臭い積み上げこそが成果につながるのだと私は本気で思っています。

10年連続のMDRTを目指して

今後は、まず10年連続でのMDRTを目指したいと考えています。何度も繰り返しているように私はスーパーマンではない「普通の人」です。毎月、毎年、なんとか達成しているので、10年続けるのがまず目標ですね。

また、おかげさまで、自分を頼りにしてくれているお客様がいらっしゃるので、「とにかく保険業界に居続けること」が重要だと思っています。仮にもしMDRT会員ではなくなったとしても、頼りにしてくれるお客様がいる限り、この業界で仕事をしていきたいと思っています。そもそも単純に、保険の仕事が大好きですし、私にはとても合っていますので。

加えて、私自身が先輩に誘ってもらい、教育を受けてここまでやってきました。ですので、将来的には同じように新しく募集人になった方の中から「私は手塚さんから教育を受けて、ここまでやってきました」という人に出会えたらうれしいですね。

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