コラム

2026年1月16日
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【速報⑨】(保険会社等に対する体制整備義務の強化②兼業特定保険募集人)令和7年保険業法改正に係る内閣府令(案)等に対するパブリックコメントの実施についてが公表されました

保険会社にもとめられる体制整備義務の続きです。

 

兼業業務を行う特定保険募集人(兼業特定保険募集人)に関して損害保険会社に求める措置

1 保険業法施行規則改正案

 第五十三条の十四の二

損害保険会社は、対象保険募集人(当該損害保険会社を所属保険会社等とする兼業特定保険募集人(法第百条の二の二第二項に規定する兼業特定保険募集人をいう。以下同じ。) をいう。以下この項において同じ。)が行う取引に伴い、当該損害保険会社又は対象保険募集人が行う保険関連業務に係る顧客(対象保険募集人にあっては、当該損害保険会社から委託を受けた業務に係る顧客に限る。)の利益が不当に害されることのないよう、次に掲げる措置(当該対象保険募集人から第二百二十七条の二十一第一項第五号に規定する通知を受けた日(当該損害保険会社を所属保険会社等とする特定大規模乗合損害保険代理店が新たに兼業特定保険募集人に該当することとなった場合にあっては、当該損害保険会社がその事実を知った日)から起算して三月を経過する日までの間においては、第五号(イ及びロに係る部分に限る。)に掲げる措置を除く。)を講じなければならない。

一 対象保険募集人が行う保険募集の業務以外の業務(次条に規定する業務に限る。第百三十三条の五第一項第一号、第二百二十七条の二十第一項第一号及び第二百二十七条の二十一第一項第六号において同じ。)のうち、当該業務に関して当該損害保険会社が次号から第五号まで及び次項に規定する措置を講ずべき業務(第四号イ及び第五号イにおいて「対象業務」という。)を特定するための体制の整備

二 当該損害保険会社における保険金の支払に関する業務を行う部門と対象保険募集人と保険募集に関して取引を行う部門を適切に分離する方法その他の方法により保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保するための体制の整備

三 前号に掲げる措置の実施の方針の策定及びその概要の適切な方法による公表

四 次に掲げる記録の保存

イ 第一号の体制の下で実施した対象業務を特定するための措置に係る記録

ロ 第二号の体制の下で実施した保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保するための措置に係る記録

五 対象保険募集人が特定大規模乗合損害保険代理店である場合にあっては、次に掲げる措置

イ 対象業務に関して当該対象保険募集人が講ずる措置(法第二百九十四条の四第四号に掲げるもの及び第二百二十七条の二十一第一項第六号に掲げるものに限る。ロにおいて同じ。)の状況を監視するための体制の整備

ロ イの体制の下で実施した監視により、当該対象保険募集人が講ずる措置の適切性に疑義が生じた場合にあっては、当該対象保険募集人が関与する保険金の支払の請求に関する保険金の支払査定の手続を通常よりも厳格に行う方法その他の方法により保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保するための体制の整備

ハ イ及びロに掲げる措置の実施の方針の策定並びにその概要の適切な方法による公表

ニ 次に掲げる記録の保存

⑴ イの体制の下で実施した特定大規模乗合損害保険代理店が講ずる措置の状況を監視するための措置に係る記録

⑵ ロの体制の下で実施した保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保するための措置に係る記録

2 前項第四号及び第五号ニに規定する記録は、その作成の日から五年間保存しなければならない。

https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20251217/01.pdf

 

保険会社は、委託している保険代理店が、自動車修理に関する業務を行っている場合、利益相反管理の体制整備を行う必要があります。

特に特定大規模乗合保険募集人が特定兼業保険募集人でもある場合、対象業務を監視する体制を構築する必要があるとされました。

2 監督指針改正案

損害保険会社は、兼業特定保険募集人に対して①自身の保険金支払管理態勢と②兼業特定保険募集人に関する措置の2つの観点からの対応が求められます。

 

Ⅱ-4-4-3 保険金等支払管理態勢(2) 主な着眼点 

⑧ 兼業特定保険募集人に関する保険金支払管理に係る措置(規則第53条の14の2関係)

損害保険会社は、上記①から⑦に掲げる措置に加えて、当該損害保険会社又は当該損害保険会社を所属保険会社等とする兼業特定保険募集人(以下「対象保険募集人」という。)が行う保険関連業務に係る顧客(対象保険募集人にあっては、当該損害保険会社から委託を受けた業務に係る顧客に限る。)の利益が不当に害されることを防止する観点から、以下の措置を講じているか。

ア. 例えば、本社の支払管理部門を担当する役員として、営業部門を担当する役員とは別の者を設置すること、支払管理部門及び支払部門が実施する保険金支払に関連する業務については、その指揮命令に基づくものに専念させること、支社(支部)・支店における支払管理業務及び支払業務に対しても本社の支払管理部門の牽制を働かせることなどにより、保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保する体制を整備すること。なお、不正請求疑義に関する情報については、支払管理部門及び支払部門と営業部門の間も含め、関連部門間で適切な情報共有がされる体制を構築すること。

イ. 対象保険募集人が特定大規模乗合損害保険代理店であって、「Ⅱ-4-6-3(2)③ 兼業業務の監視態勢整備」の結果等により、対象保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店が規則第227条の20及び同第227条の21第1項第6号に基づき講じる措置の適切性に疑義が生じた場合には、当該特定大規模乗合損害保険代理店が関与する保険金の支払請求に関しては、例えば以下の内容を含む体制を整備すること。

(ア) 不正請求疑義に関する情報や上記の疑義が生じた対象保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店に関する情報の適切な管理及び関連部門間での共有

(イ) 損害の確認や損害額の決定に必要十分な知識・技能を有する者の確実な関与

ウ. 支払管理部門や関連部門への内部監査体制の整備に当たっては、上記ア.及びイ.の観点が考慮されているか。

https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20251217-2/01.pdf

 

保険金支払管理態勢として、以下のような体制が具体例として挙げられています。この具体例は事情に重要です。

より多くの保険金の支払いを求める兼業特定保険募集人と接点が多くある営業部門と、支払管理部門を役員のレベルで組織として分けることにより、組織体として、そこに代理店への配慮が働きにくくなると思われます。また、支払管理部門は「その指揮命令に基づくものに専念させること」とあるので、この点でも保険金を高く支払う求めるインセンティブがある兼業特定保険募集人からの支払い部門への影響を排除する方向が見て取れます。

  • 本社の支払管理部門を担当する役員として、営業部門を担当する役員とは別の者を設置すること
  • 支払管理部門及び支払部門が実施する保険金支払に関連する業務については、その指揮命令に基づくものに専念させること
  • 支社(支部)・支店における支払管理業務及び支払業務に対しても本社の支払管理部門の牽制を働かせること

 

Ⅱ-4-6-3 兼業特定保険募集人に関する措置(顧客の利益の保護のための体制整備関係)(規則第53条の14の2関係)

(1) 意義

損害保険会社は、法100条の2の2第1項に規定する兼業特定保険募集人に関しては、上記Ⅱ-4-6-1及びⅡ-4-6-2にかかわらず、兼業特定保険募集人と損害保険会社の関係性等を踏まえた体制整備を行う必要がある。 この観点から、規則第53条の14の2に基づき、修理費の不正な見積りによる過大な保険金の支払い等により、対象保険募集人が行う保険関連業務に係る顧客(対象保険募集人にあっては、当該損害保険会社から委託を受けた業務に係る顧客に限る。)の利益が不当に害されることを防止するため、以下の措置を講じる必要がある。

(2) 主な着眼点

① 対象業務の確認等

対象保険募集人が規則第53条の14の3に定める業務を行っているかについて、日常的な教育・管理・指導のほか、代理店監査等の機会を通じて定期的に確認し、その結果の関連部門間での共有も含め、適切に管理する態勢を整備しているか。

② 兼業特定保険募集人に関する保険金支払管理態勢の整備

保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保するため、Ⅱ-4-4-3(2)⑧に掲げる措置を講じているか。

③ 対象保険募集人が講じる措置の確認・検証態勢の整備

対象保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店が規則第227条の20及び同第227条の21第1項第1号第6号に基づき講じる措置(「Ⅱ-4-2-15-5 兼業特定保険募集人である特定大規模乗合保険募集人が講ずべき態勢整備等(規則第227条の20関係)」も参照)について、日常的な教育・管理・指導のほか、代理店監査等の機会を通じて確認・検証し、課題等が認められる場合には期限を定めて改善を求めるための態勢を整備しているか。

④ 実施方針の策定及びその公表

規則第53条の14の2第1項第3号及び第5号ハにより公表する実施方針の概要については、その趣旨が明確に現れているものとなっているか。 また、公表方法は、例えば、店頭でのポスター掲示やホームページへの掲載など、顧客等に対して十分に伝わる方法となっているか。

⑤ 記録の保存等

規則第53条の14の2第1項第4号及び第5号ニに基づく記録の保存も含め、上記①、②及び③に係る措置の適切性について、事後に検証を行うための態勢を整備しているか。 

https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20251217-2/01.pdf

 

保険会社は、対象代理店が自動車修理業等を営んでいないか定期的に確認することが求められることとなります。

また、記録の保存も事後的に検証できるように行う必要があります。なお、兼業特定保険募集人に求められる体制整備については、【速報⑤】((兼業業務関連)特定大規模乗合損害保険代理店に対する体制整備義務の強化)にまとめてあります。

執筆者プロフィール

中村 譲
中村 譲
株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長

2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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