コラム

2025年11月13日
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代理店業務品質評議会(第3回)議事概要 を読む

代理店業務品質評議会(第3回)議事概要(https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003uts-att/hyogikai_3.pdf)が公表されました。(資料についての解説はこちら

1 フォローアップ点検について

フォローアップ点検について、損保会社の関わり方が議論されています。
その他、重要なのはフォローアップ点検の実施通知に対する代理店からの「不同意」の取扱いです。

https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003uts-att/follow-up.pdf

●フォローアップ点検において、どのような場合に代理店の不同意や離脱が起こることが想定されるか。
(事務局)代理店の不同意や離脱は、例外的な場合を想定している。特に離脱については、フォローアップ点検の期間中に代理店が廃業するなど、突発的な要因によって点検の継続が難しい場合を想定している。
●代理店の不同意については、通常の手続きと誤認されないよう、注釈とする方がよいと思う。
●代理店の不同意は、不同意をした場合にどうなるのかを注釈で示し、それを選択した場合の不利益等を示せるとよいと思う。また、代理店の離脱は、想定される以上は事前に手続きを定めておく必要があると思う。

http://sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003uts-att/hyogikai_3.pdf

フォローアップ点検の不同意の場合の不利益の内容がどうなるのか、どういった場合に不同意ができるのか(通常の手続きではないとのことで、不利益のない不同意がどういったケースなのか)について注目していきます。

●損保会社の本社部門を介すのではなく、営業店を対象に代理店指導等の状況に関するアンケートを行うことや点検結果のフィードバックを行うことは、代理店と直接接点のある営業店に代理店指導の改善点等を理解してもらうという点で大変重要である。

http://sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003uts-att/hyogikai_3.pdf

この点は実務上影響が大きいと思います。

基本的に保険会社の本社から営業部門に連携をするのが一般的(情報の漏れ等をなくしたり、担当者ごとに異なった情報の受け取り方がされるリスクがあるため)だと思われます。これは、本社においてフィードバックの情報を整えて、読めるように、整合的にするということも含まれています。

ここで、営業店を対象に直接アンケートを行うということになると、かなりフィードバックの受け止め方にばらつきが出てくるものと思われます。損保会社は、営業店がフィードバックを受ける可能性を踏まえて、営業店に対して本制度の十分な理解を促しておくことが肝要となります。

●本制度が代理店委託契約の解除や代理店手数料ポイント制度にただちに影響させることを目的とした仕組みではないことを理解してもらう観点からも、代理店の努力が認められる部分に関する記載はあった方がよい。
●フォローアップ点検に誠実に協力したという事実自体も、経営の透明性が高いと評価することが可能だと思う。

http://sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003uts-att/hyogikai_3.pdf

上記2点は、本制度の在り方、とらえ方として誤解がないようにするために重要です。
本制度の点検結果が芳しくなくても、そもそも、代理店に不利益を課すためのものではないという制度趣旨を改めて前提に考える必要があります。

2 「代理店業務品質に関する評価指針」の改正について

●自己点検チェックの取組みについては、全く新しいものという受け止めもあるようだが、これまでも当然に取り組むべきことを、各社各様に実施すると非効率であるため、業界共通として整理したものである。代理店においては、損害保険という金融商品を取り扱っているという意識のもと、業界全体の信頼の確保のために、本来あるべき実務という観点から、一定の負担が生じることを理解いただきたい。代理店と損保会社の対話を通じて品質を確保し、不足する部分があれば見直しのきっかけとすることが、本制度の本質だと思う。関係者の皆さまに協力いただきたい。

https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/g34l0i0000003uts-att/hyogikai_3.pdf

自己点検チェックの取り組みついては、業界共通で当然に取り組むべきものが整理されていることが改めて述べられています。

各社各様に行っていたチェックは、今後自己点検チェックシートを基礎として、代理店は保険会社との対話によって業務品質のますますの向上を図っていくことが求められます。

執筆者プロフィール

中村 譲

中村 譲
株式会社Hokanグループ 弁護士/パブリック・アフェアーズ室長
兼コンプライアンス室長

2008年慶應義塾大学法科大学院卒業、2009年弁護士登録(東京弁護士会)。都内法律事務所・損害保険会社・銀行を経て、株式会社hokanに入社。平成26年保険業法改正時には、保険会社内で改正対応業務に従事した経験を持つ。「「誠実義務」が求める保険実務におけるDXの方向性(週刊金融財政事情 2024.9.17)」、「実務担当者のための今日から始める保険業法改正対応」(保険毎日新聞 2025.5.15~7.3)等を執筆。
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