コラム
【損保代理店向け】2026年度 損害保険協会「自己点検チェックシート」対応は、意向把握と比較推奨の“仕組み化”で決まる

目次
1.自己点検対応は「経営リスク」の時代へ
2026年度より、損害保険協会による「代理店自己点検チェックシート」の本格運用が開始されます。
この対応は、保険代理店の業務フローの抜本的な見直しを求めるものです。 募集活動から管理体制に至る業務プロセス全体で「記録の裏付け」が求められるため、自己点検の質を高めることが、コンプライアンスリスクを低減し、事業の安定性を確保する上で不可欠です。
本コラムでは、「自己点検チェックシートの対応をどう進めればよいか迷っている」方々へ向けて、コンプライアンス態勢を強化するための具体的な知見をお届けします。
参照:日本損害保険協会 代理店業務品質評価を行う業界共通の枠組み
https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/quality/index.html
2.自己点検チェックシートの全体像と「仕組み化」の必要性
まず、損害保険協会が定める自己点検チェックシートの主要項目を確認します。
自己点検チェックシートは、保険代理店運営の根幹に関わる広範な項目で構成されています。

※参考:2025年9月25日開催 オンラインセミナー「改定方針案解説付き 損保協会自己点検シートから考えるシステム活用」資料から抜粋
重要なのは、チェックリストを形式的に満たすことではなく、「業務が日常の中でルール化され、誰が担当しても同じ水準で、証跡が残る仕組みとして運用できているか」という「仕組み化」が出来ている状態です。
3.最重要領域:「意向把握」・「比較推奨販売」をめぐるリスク
自己点検チェックシート対応には様々な観点があります。
その中でも 「①意向把握・意向確認」「③比較推奨販売」は特に重要な領域です。
特に損害保険を中心に取り扱う代理店では、
- 生命保険と比較して保険商品の差別化が難しい
- 自動車保険・火災保険など継続契約が多く「更新だから前回と同じ」で片付けがち
- Excel・紙による管理が続き、証跡が曖昧になりがち
という現場特有の事情から、対応が後回しになりやすい領域でもあります。
しかしこのままでは、
- 提案理由が不明確となり説明責任を果たせない
- 苦情や事故対応時の遡り確認が困難
- 自己点検・監査準備に大きな負担が発生
など、業務品質や信頼性に影響するリスクが高まります。
4.保険業法改正に伴うハ方式の廃止
比較推奨販売については、保険業法改正の議論を受け、「ハ方式(代理店主体の推奨理由による販売)」は廃止が見込まれています。これは、代理店都合ではなく、顧客意向に沿った提案を行うことを徹底するためです。

※参考:2025年9月25日開催 オンラインセミナー「改定方針案解説付き 損保協会自己点検シートから考えるシステム活用」資料から抜粋
今後求められるのは、顧客意向に基づいた商品選定である「ロ方式」です。
しかし実務に目を向けると、表面上はロ方式を採用しているように見えても、実際には「特定の商品ありき」で比較が行われているケースが多く存在します。
- 複数の商品を並べているにもかかわらず説明の厚みに偏りがある
- 商品選定の前提となる意向確認が推奨商品を導く構造になっている
- 比較対象が限定されて結果的に選択肢が一択になってしまっている
この場合、自己点検において「実質ハ方式」と判断されるリスクがあります。
監査時に説明がつかず、募集品質の低下や経営リスクへとつながりかねません。
5.hokan®︎が実現する「意向把握・意向確認」「比較推奨販売」の仕組み化
hokan®︎は、現場の負担を最小限に抑えながら、意向把握から比較推奨販売まで一連の証跡を残す仕組みを実現しています。
意向把握・比較推奨販売の記録を残す
・顧客の当初意向に基づき、選択肢に応じた保険商品絞り込みが可能

・「なぜこの商品を提案したのか?」の提案理由を保存

意向把握機能のアップデート予定
保険業法改正への取り組み強化のため、意向把握・比較推奨販売に関するアップデートを予定しております。
・高齢者募集・適合性確認の自動判定
年齢や提案商品の情報に応じて、必要な確認項目を意向把握フロー内で必須制御。
→ メモや別紙管理に頼らず、記録漏れを抑止できます。
・ロ方式に準拠した標準パッケージ提供
条件に適した商品選択をするだけで、制度適合を満たす提案プロセスに。
→ 現場負担を増やさず制度対応が実現します。
6.まとめ
自己点検チェックシートは、募集活動から管理体制、内部監査まで幅広い取り組みが求められます。
しかし、すべてを一度に整備しようとすると、どの代理店様でも負担が大きくなってしまいます。
そこで本コラムでは、特に重要性が高く、現場で課題になりやすい「意向把握」と「比較推奨販売」に絞ってお伝えしてきました。
まずはこの領域から整えることで、
- 日常業務の中で証跡が残る仕組みができる
- 誰が担当しても、一定の品質で提案できる
- 自己点検時の準備工数が大きく削減できる
といった効果が期待できます。
意向把握や比較推奨販売は、制度対応というだけでなく、お客様にとって納得感のある提案につながる、非常に大切なプロセスです。制度の変化を機に、より質の高い募集体制を整えるチャンスとも言えます。制度改正に向けて意向把握・比較推奨販売への対応をさらに深めたい方へ、こちらの資料もご用意しています。
《意向把握・比較推奨販売:ハ方式⇢ロ方式 移行ガイド》
https://hkn.jp/material/wp21/
- ハ方式とロ方式の違いがわかる
- ロ方式運用で生じる課題と、その解決策を解説
- hokan®︎で実現するスムーズな移行イメージを紹介
制度対応の検討にぜひお役立てください。
執筆者プロフィール

- 株式会社hokan カスタマーサクセス
新卒から約10年間、損害保険代理店で法人営業に従事。損害保険の提案営業、満期更改業務や事故対応を経験。その後、介護事業者向けクラウドサービスのカスタマーサクセスとして、既存顧客の支援や活用促進、売上拡大の施策に取り組む。その後、開発者向けプラットフォームのカスタマーサクセスを経て、2025年に株式会社hokanへ入社。カスタマーサクセスとして既存顧客への導入支援や活用促進に従事。
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